シリコンスタジオ、製造業や建築・土木におけるゲームエンジンの活用状況を調査…5割超が「業務の効率化」と「成果物の質の向上」に期待

シリコンスタジオ<3907>は、主に製造業および建築・土木企業に勤務する人を対象としたゲーム・エンターテインメント以外の事業における「CG・ゲームエンジンの活用に関する実態調査」を実施し、2024年2月9日から2月27日までに収集した103件の回答にもとづく調査結果(2024年版)を発表したことを発表した。

さまざまな業界においてデジタルトランスフォーメーション(DX)への取り組みが進む中、産業分野ではリアルタイム3DCGやゲームエンジン※1といったゲームの技術を活用したデジタルツイン※2やメタバース※3構築によるデータの可視化が注目を集めている。

自動運転、製品検査、人物認識など、機械学習による画像識別の分野では、CGを実写に代わるAI学習用の教師データとする試みが数年前から実用化され始めた。

また、建設業界では、BIM※4データや点群データ※5を3D化したデジタルツインで工事進捗や完成イメージを確認したり、建機に取り付けたセンサー情報やカメラ映像と組み合わせて現場の施工自動化を仮想空間上でシミュレーションしたりするなど、あらゆる場面でCG・ゲームエンジンの活用が本格的な広がりを見せている。

そこで同社では、ゲーム・エンターテインメント以外の産業分野におけるCG・ゲームエンジンの活用実態を調査するため、「日経クロステック Active」の協力によるアンケート調査を実施した。ここに調査結果の一部を抜粋し、報告する。

なお、同様のアンケート調査を2021年、2022年にも実施しているが、過去の調査における回答者とは業種や職種、役職などの属性比率が大きく異なることから、比較による考察は実施していない。

▼産業分野におけるCG・ゲームエンジンに関する実態調査(2024年版)
https://go.siliconstudio.co.jp/wp_download/cg-gameengine-2024/

【調査概要】
調査対象:日経クロステック Active会員
調査手法:日経クロステック ActiveでWebアンケート調査
調査期間:2024年2月9日~2月27日
有効回答数:103名(勤務先の従業員数100人以上の製造、建築・土木、IT、その他関連業種に限定)

【調査結果のサマリー】
1.導入済の企業は7.8%、検討中または今後予定の企業は35.9%
2.最も導入済の割合が多い業種は「建築・土木」で42.9%
3.活用分野で多かった回答は「シミュレーション」が34.0%、「ビジュアライズ」が30.1%
4.5割以上の回答者が導入・活用で期待する効果は「業務の効率化」と「質の向上」
5.導入・活用に際して多くの回答者が課題とされているのは「費用」と「見合う成果」

【調査結果(抜粋)】
回答者会員属性情報

 

1.導入済の企業は7.8%、検討中または今後予定の企業は35.9%

全体でみると、「すでに導入・活用している」は 7.8%、「現在導入・活用を検討している」または「今後導入・活用を検討する可能性がある」と回答した方は 35.9% で全体の約4割強となっています。

以前よりもデジタルデータの取得は容易になってきており、今後はそれらを有効活用した更なる高度なモノづくりDXへの取り組みとして、デジタルツインの実現による業務の効率化や品質向上、人手不足の解消など、CG・ゲームエンジンの導入・活用は加速していくと推測されます。

 

2.最も導入済の割合が多い業種は「建築・土木」で42.9%
業種ごとにみると、すでに導入・活用している割合が高いのは「建築・土木」で 42.9%、「自動車・輸送機器」で 12.5% となっています。建築・土木業界では2024年問題など人手不足対策として、遠隔臨場をはじめi-Constructionとして政府が促進してきた既存のDXを、BIM/CIMや点群などのデジタルデータを活用した3D化、仮想化によって進化を図ろうとされていることが表れていると思われます。また、自動車・輸送機器業界ではCGや3Dデータの活用が他業界より先駆けて浸透していることから、ゲーム関連技術によるデジタルツインなどの先進的な取り組みや活用の検討が進んでいると考えられます。

一方、製造(その他)の導入・活用企業の割合は 1.5% と少ないものの、「現在導入・活用を検討している」「今後可能性がある」が 35.4% となっており、ものづくりDX推進のための手段として注目を集めていることは間違いないと推測します。

 

3.活用分野で多かった回答は「シミュレーション」が34.0%、「ビジュアライズ」が30.1%
CG・ゲームエンジンを導入・活用している(検討している)分野において、最も多かった回答は「各種シミュレーション」で 34.0%、次いで「ビジュアライズ」が 30.1% という結果になりました。各種設計・計測データを活用した動作・現象のシミュレーション、3Dモデルによる可視化での活用に注目が集まっていると思われます。

 

4.5割以上の回答者が導入・活用で期待する効果は「業務の効率化」と「質の向上」
CG・ゲームエンジンの導入・活用に対する効果について、「業務の効率化・スピードアップ」を 56.3%、「業務・成果物の質の向上」を 52.4% の人が期待していることがわかりました。

人手不足や物価高騰を背景に、どの業界でも生産効率の向上や国際競争力の強化を目指した取り組みは重要課題です。

現場で使われている紙図面をはじめ、CAD、BIM/CIM、点群などの設計・計測データの3次元ビジュアライゼーション(可視化)や、 3Dモデルでリアルに構築された仮想空間によるコミュニケーションが関係者間での合意形成の円滑化をもたらし、現実では困難な状況の再現やシミュレーションによって業務の効率化、開発期間の短縮、コストダウンなどの効果がもたらされることを期待されていると推測されます。

リアルタイム3DCGやゲームエンジンなどの技術を活用したデジタルツインなら、いつでも、どこでも、さまざまなデバイスを通して誰もがアクセスできるDXソリューションを実現することが可能です。

 

5.導入・活用に際して多くの回答者が課題とされているのは「費用」と「見合う成果」
CG・ゲームエンジンの導入・活用に際して課題とされていることは、「費用対効果」が 52.4% と最も多く、次いで「導入・委託費用」が 45.6%と、いずれもコスト面とそれに見合う成果を重視していることがわかりました。

次いで「専門知識の必要性」が 41.7%、「社内の運用リソース」が 35.0% となっており、現場でのデジタルスキルを持つ人材確保や特殊なスキル、ナレッジの必要性に不安を抱いていることも見受けられます。

 

※1 ゲームエンジン:コンピューターゲーム開発に必要なライブラリやツールなどの機能がまとまった、GUIベースの統合開発環境
※2 デジタルツイン:現実空間に実在している物体や環境に関する情報を収集し、仮想空間に再現する技術
※3 メタバース:利用者が自分の分身(アバター)を通して現実世界と同様の活動ができるインターネット上の3DCGによる仮想空間
※4 BIM:コンピューター上に作成した3次元の立体モデル(BIMモデル)に、形状や部材、地理情報などの属性データを追加し、設計から施工、維持管理に至るまでの建築ライフサイクルにおいて蓄積されたデータを構築・管理するワークフロー
※5 点群データ:物体や地形を3Dレーザースキャナーなどで計測した無数の3次元座標を持つ「点」によって構成されるデータの集合で、X、Y、Zの基本的な位置情報や色などの情報を持つ

シリコンスタジオ株式会社
http://www.siliconstudio.co.jp

会社情報

会社名
シリコンスタジオ株式会社
設立
2000年1月
代表者
代表取締役社長 梶谷 眞一郎
決算期
11月
直近業績
売上高45億5400万円、営業利益2億3800万円、経常利益2億4600万円、最終利益2億円(2023年11月期)
上場区分
東証グロース
証券コード
3907
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