東宝、第3四半期決算は営業益16%増の416億円と2ケタ増益 興収10億以上のヒット作前年上回る 「呪術廻戦」「ヒロアカ」「SPY × FAMILY」などアニメ好調

東宝<9602>は、1月15日、2024年2月期 第3四半期累計(23年3月~23年11月)の連結決算を発表し、営業収入2031億円(前年同期比13.0%増)、営業利益416億1000万円(同16.0%増)、経常利益441億8100万円(同8.0%増)、最終利益284億0200万円(同4.7%増)だった。

・営業収入:2031億円(同13.0%増)
・営業利益:416億1000万円(同16.0%増)
・経常利益:441億8100万円(同8.0%増)
・最終利益:284億0200万円(同4.7%増)

 

主力の映画事業において、「君たちはどう生きるか」をはじめ、「ゴジラ-1.0」「ミステリと言う勿れ」などがヒットした。前年の「すずめの戸締まり」に匹敵するヒット作はないが、興行収入10億円以上のヒット作の本数が前年を上回り、映画営業事業全体として増収増益を達成した。

さらに「呪術廻戦」や「僕のヒーローアカデミア」「SPY×FAMILY」などのTOHO animation作品が、動画配信、商品化権、パッケージ販売等の多面的展開により好調に推移した。

演劇事業では、日本初上演として話題となった帝国劇場「チャーリーとチョコレート工場」や、シアタークリエ「M.クンツェ&S.リーヴァイの世界~3rd Season~」、日生劇場「ラグタイム」等が堅調に推移した。不動産事業では、不動産賃貸事業において「東宝日比谷プロムナードビル」をはじめとする新規物件が順調に稼働したが、減価償却費等が増加したため、増収ながらわずかに減益になったという。 

  

■映画事業

映画事業全体では、営業収入は1362億6200万円(同18.0%増)、営業利益は296億8000万円(同28.9%増)となった。

【映画営業事業】
東宝において、ゴジラ70周年記念作品「ゴジラ-1.0」を製作し、公開した。そのほか、共同製作や配給した作品のうち、「名探偵コナン 黒鉄の魚影」が興行収入100億円超えを記録、「君たちはどう生きるか」「キングダム 運命の炎」「劇場版『TOKYO MER~走る緊急救命室~』」「ミステリと言う勿れ」などヒットした。また、東宝東和等が配給した「ザ・スーパーマリオブラザーズ・ムービー」が大ヒット、「ミッション:インポッシブル/デッドレコニング PART ONE」「ワイルド・スピード/ファイヤーブースト」などヒットした。

これらの結果、映画営業事業の営業収入は331億9800万円(同13.9%増)、営業利益は116億6800万円(同7.0%増)となった。なお、上記営業収入の主な内訳として、映画館への配給が255億1300万円(同30.6%増)、劇場用映画の国内配信が9億5600万円(同69.2%減)となった。

【映画興行事業】
TOHOシネマズ等において、上記配給作品のほか、バラエティに富んだ邦洋画作品を上映した。第3四半期累計における映画館入場者数は3000万人と同4.2%の増加となった。なお、TOHOシネマズでは、エネルギー価格の高騰や人件費増加等により6月1日から映画鑑賞料金を改定した。

これらの結果、映画興行事業の営業収入は589億5600万円(同11.7%増)、営業利益は90億8600万円(同55.1%増)となった。第3四半期累計中の劇場の異動については、TOHOシネマズが4月17日に大阪府門真市「TOHOシネマズ ららぽーと門真」(9スクリーン)、11月30日に北海道札幌市中央区「TOHOシネマズ すすきの」(10スクリーン)をそれぞれオープンした。これにより、当企業集団の経営するスクリーン数は全国で19スクリーン増の740スクリーン(共同経営56スクリーンを含む)となっている。

【映像事業】
東宝において「呪術廻戦」「僕のヒーローアカデミア」「SPY×FAMILY」「Dr.STONE」「ハイキュー!!」「葬送のフリーレン」「薬屋のひとりごと」等、製作出資したTOHO animation作品の国内外の配信・商品化権収入に加え、各種配分金収入があった。パッケージ事業では「すずめの戸締まり」「わたしの幸せな結婚」に加え、TOHO animation作品の「呪術廻戦」「お兄ちゃんはおしまい!」「お隣の天使様にいつの間にか駄目人間にされていた件」の販売が伸長した。

出版・商品事業では、劇場用パンフレット、キャラクターグッズにおいて同社グループ配給作品の「名探偵コナン 黒鉄の魚影」「ゴジラ-1.0」「映画ドラえもん のび太と空の理想郷」「わたしの幸せな結婚」の販売が好調に推移した。また、TOHO animation作品のキャラクターグッズ販売が営業収入に寄与した。TOHOスタジオでは、制作及びスタジオ事業の一体運営を図り、堅調に稼働した。東宝映像美術及び東宝舞台では、映画やTV・CM等での舞台製作・美術製作やテーマパークにおける展示物の製作業務に関して受注持ち直しの動きに加え、原価抑制に努めた。

これらの結果、映像事業の営業収入は441億0700万円(同31.3%増)、営業利益は89億2500万円(同42.8%増)となった。なお、上記営業収入の主な内訳として、アニメコンテンツの利用が189億8700万円(同52.4%増)、パッケージの販売が48億7500万円(同7.8%増)、映像作品等に係る美術製作が65億9300万円(同9.6%増)となった。

 

■演劇事業

演劇事業の営業収入は145億0800万円(同4.6%増)、営業利益は22億5600万円(同1.0%増)となった。

東宝の帝国劇場で、大人気コミック「SPY×FAMILY」初のミュージカル化を実現し全席完売、日本初上演として話題となった「ムーラン・ルージュ!ザ・ミュージカル」が満席となった。そのほか、「Endless SHOCK(Endless SHOCK/ Endless SHOCK Eternal)」「DREAM BOYS」「チャーリーとチョコレート工場」「LUPIN ~カリオストロ伯爵夫人の秘密~」を上演し盛況に推移した。シアタークリエでは「RENT」「おかしな2人」「She Loves Me」「SHOW BOY」「M.クンツェ&S.リーヴァイの世界~3rd Season~」「のだめカンタービレ」等を上演し、日生劇場では「ラグタイム」が大入りとなった。

また、社外公演として「キングダム」「SPY×FAMILY」等を全国へ展開した。東宝芸能では、所属俳優がCM出演等で好調に推移した。

 

■不動産事業

営業収入は513億9300万円(同3.9%増)、営業利益は136億1900万円(同0.6%減)となった。

【不動産賃貸事業】
保有物件の有効活用に努めつつ、テナントに対するきめ細かな対応により、賃貸用不動産
の空室率は、第3四半期末において0.2%となった。一方で、減価償却費等の費用の増加があった。これらの結果、不動産賃貸事業の営業収入は219億1700万円(同4.7%増)、営業利益は88億4100万円(同2.2%減)となった。

道路事業では、公共投資が底堅く推移したが、建設技能者の不足に加えて、労務費・資機材価格の上昇が継続する等、依然として予断を許さない状況が続いた。このような状況の中、スバル興業と同社の連結子会社は、積極的な営業活動を行うとともに、積算精度の向上や入札における総合評価方式への対応強化を図った。

その結果、道路事業の営業収入は216億3900万円(同2.6%増)、営業利益は39億4300万円(同0.9%減)となった。なお、営業収入の主な内訳は、道路の維持管理・清掃等196億6300万円(同2.3%増)であり、またその他の収益6億3200万円(同5.8%増)が含まれている。

【不動産保守・管理事業】
東宝ビル管理及び東宝ファシリティーズにおいて、人手不足や人件費・原材料
費の増加が継続する一方、資材の供給不足等により延期となっていた工事の実施があったほか、新規受注確保に努めた。その結果、営業収入は78億3700万円(同5.0%増)、営業利益は8億3400万円(同21.6%増)となった。

 

■その他事業

東宝共榮企業の「東宝調布スポーツパーク」やTOHOリテールの劇場売店等において、積極的な営業活動に努めた。その結果、その他事業の営業収入は9億3500万円(同6.8%増)、営業利益は1億9100万円(同16.1%増)となった。

 

■2024年2月期の業績見通し

2024年2月期の業績は、営業収入2700億円(前期比10.5%増)、営業利益500億円(同11.4%増)、経常利益540億円(同12.9%増)、最終利益360億円(同7.7%増)、EPS206.20円を見込む。

・営業収入:2700億円(同10.5%増)
・営業利益:500億円(同11.4%増)
・経常利益:540億円(同12.9%増)
・最終利益:360億円(同7.7%増)
・EPS:206.20円

計画に対する進捗率は、営業収入75.2%、営業利益83.2%、経常利益81.8%、最終利益78.9%となっている。

・営業収入:75.2%
・営業利益:83.2%
・経常利益:81.8%
・最終利益:78.9%

※詳細は後ほど報じます。

東宝株式会社
https://www.toho.co.jp/

会社情報

会社名
東宝株式会社
設立
1932年8月
代表者
代表取締役社長 社長執行役員 島谷 能成
決算期
2月
直近業績
売上高2283億6700万円、営業利益399億4800万円、経常利益427億9000万円、最終利益295億6800万円(2022年2月期)
上場区分
東証プライム
証券コード
9602
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