【海外市場調査】臥龍吟2〜大人気ブラウザーゲームの後継作がモバイルアプリ版として登場!(提供:LIVEOPSIS)vol.8

スマートフォンゲームの日々の運用とその効果をリサーチし、ゲーム関連企業へマーケティングデータを提供するSp!cemart(スパイスマート)。

同社のサービス「LIVEOPSIS(ライブオプシス)」では、ゲームアプリの運用情報はもちろん、他社のYoutubeやTwitterの運用情報なども分析することができ、毎月発行しているレポートを提供している。


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また、中国をはじめとした海外のゲーム内イベントやランキング情報も閲覧でき、本連載記事ではスパイスマート協力のもと、海外市場のゲームアプリ動向を紹介する。

今回は中国でヒットしたブラウザゲーム『臥龍吟』の後継作『臥龍吟2』をピックアップする。 

(以下、スパイスマートが提供するスマホゲーム分析/運営ソリューションル「LIVEOPSIS(ライブオプシス)」での調査内容を基に掲載) 

本作の特徴




『臥龍吟』はTencentGames(騰訊遊戯)とKinGame(金山世遊)が共同開発した自由度の高い対戦ストラテジーモバイルゲームだ。三国時代を背景に自由な行軍・オープンワールド・多人数同時接続・リアルタイムな攻城戦を強みとしている。シリーズの前作の『臥龍吟』はブラウザーゲームとしてリリースされていた。

中国での評判が良かったため、モバイル版が制作されることになり、本作がシリーズとして2作目となる。




▲100人同時プレイを実現した大規模攻城戦では、軍団の差配能力と他のプレイヤーとの協力が求められる。この点が今作の最大の特長だ。

本作でも、三国志の有名な戦いや事件を数多く再現しており、リアルに時代劇の雰囲気を味わえる。

本作の注目ポイント

自由な戦場、行軍。リアルな攻城戦。

今作はリアルタイムストラテジーゲームであるが、同ジャンルのゲームにありがちな「マス」を移動するといったシステムを廃し、広大なマップ上を自由に行軍でき、攻城戦がリアルに描かれている。

・陣営を選択、国や軍団の駆け引き

今作は三国志がテーマのゲームだ。勢力や、その勢力に属する軍団を自由に選んで対戦できるほか、ゲームのインタラクションが確保されている。

・マーケティング施策

同ジャンル・同テーマの作品が中国には多いため、競合作品との違いを強調することが今作のプロモーションの主な方針だった。
1.自由度の高い行軍と探索。
2.大規模なリアルタイムの攻城戦。

3.ドラマ『三国演義』の一部俳優が音声を担当。これは競合作にはないポイントである。

世界観とストーリー

今作の世界観とストーリーは基本的に時代小説の『三国志演義』に沿っている。(正史の『三国志』ではない)。

三国史演義上の有名な事件の再現が今作の特徴だ。「温酒斬華雄(関羽が猛将・華雄を斬り、十八路諸侯の危機を救う)」、「千里走単騎」などの有名な事件を描いた特殊なストーリームービーが再生される。

三国史は人々によく知られているため、世界観やストーリーには大幅な改編は加えられておらず、三国志演義に沿って大河ドラマ的に描かれている。

ゲームシステム

・キャラクターパラメータ
魏・呉・蜀・群の4つの陣営が用意されており、物理攻撃型・戦法攻撃型・策略補助型に分かれている。

連れていける兵種は歩兵・槍兵・騎兵・弓兵・文官で、相互に相性が存在する。キャラのグレードは低い順に緑・青・紫・オレンジと格付けがされている。

パラメータ パラメータ説明
総帥 サブパラメーターの物理攻撃と物理防御に影響する
武力 サブパラメーターの戦法攻撃と戦法防御に影響する
知力(智力) サブパラメーターの計略攻撃(計策攻撃)と計略防御(計策防御)に影響する
兵力 与ダメージ上限に影響する

クリティカル(暴撃)/

クリティカル抵抗(抗暴)

クリティカルを与える/防ぐ確率に影響する

貫通(穿透)/
ダメージ減少(減傷)

キャラの最終的な与ダメージ/被ダメージに影響する

反撃

キャラがダメージを受けた時に反撃する確率に影響する

・キャラクター育成

▲キャラクターレベルアップ(左)キャラクターランクアップ(右)

キャラレベルアップ
キャラ経験値アイテムを消費することで、キャラレベルを上げ、能力を強化する。キャラの最大レベルは、プレイヤーの内政庁のレベルが上限となる。

キャラランクアップ
「兵種印記」を消費することで、キャラランクを上げ、能力を強化する。また、上級兵種を解放できる。キャラレベルにより制限を受ける。

キャラ兵種
解放済みの兵種を自由に設定できる。

キャラ絆
絆関係があるキャラを獲得すると、能力補正効果が得られる。


・キャラクター装備の育成

装備強化
「銀貨」と「装備強化石」を消費することで、キャラの装備レベルを上げ、装備を強化する。装備の最大レベルは、建物「軍械府」のレベルが上限となる。

装備精練
「銀貨」と「装備精練石」を消費することで、装備のパラメーター項目を増やし、装備を強化する。

・バトル

バトルは戦略カードゲームのシステムを採用している。モードにより1~5人の武将キャラを戦闘に参加させられる。プレイヤーの選択した陣形に従って配置される。

兵種間には相性があり、歩兵・槍兵・騎兵は三すくみの関係にある。

今作には士気というシステムが存在する。

部隊は、陣形に応じて優先的に攻撃する。攻撃を与えたり、受けたりするたびに士気が上昇する。士気が100になると、武将のキャラスキルが発動する。

・ゲームコンテンツ
都市建築

内政庁
都市建設システムのメインの建物。「建築素材」を消費することで、レベルを上げる。レベルは他の建物の最大レベル・占領可能な資源ポイントの数・派遣可能な舞台の数に影響する。

指定のレベルに到達すると、新たな建物と建物外観が解放される。キャラを派遣すると、派遣したキャラに応じて以下の追加効果が発生する。レベルアップに必要な時間の短縮・行軍に必要な時間の短縮・科学技術研究速度の短縮・材料入手量の上昇。

畑(農田)・石工房(石匠坊)・木工房(木工坊)
資源産出型の建物。糧秣、石材、木材を産出する。レベルアップすると1時間ごとの産出量と保管上限が上昇する。

民家
資源産出型の建物。毎日6回まで、住民から税金を徴収し、銀貨を手に入れることができる。レベルアップすると産出量が上昇する。

軍械府
機能型の建物。キャラ装備強化の最大レベルに影響する。建築素材を消費することで、レベルを上げ、装備レベル上限を引き上げる。

倉庫
機能型の建物。レベルが建築資源の最大保管量に影響する。

訓練場(校場)

機能型の建物。この入口で布陣と小隊の編成を行うことができる。訓練場では毎日派遣任務が更新される。任務の要求に応じてキャラを派遣することで任務をこなす。

この建物は装備育成素材、元宝、経験値アイテムを産出する。レベルアップすると産出量が上昇する。

兵営
機能型の建物。小隊の兵力を補充できる。徴兵には糧秣を消費する。毎日2回まで無料で徴兵できる。レベルアップすると、徴兵のたびに手に入る兵力が増加する。

策略府

機能型の建物。科学技術研究を行うことができる。レベルアップすると科学技術を解放できる。今作では、科学技術は3種類に分かれている。

陣形科学技術:
陣営を解放し、陣形レベルを上昇させられる。陣形の能力値が強化されるか、追加の効果が得られる。

武将戦略:
出陣する武将の能力値を強化する。

建物科学技術:
建物の産出量を増加させるか、建築・科学技術研究・行軍に必要な時間を短縮する。

 ・マップ

このゲームでは、マップで小隊派遣と探索を行い、採集、交戦、移動などの行動を行うことができる。マップ上の建物ユニットは、資源戦略拠点とプレイヤーの城に分けられる。

資源戦略拠点
畑、伐採場、採石場などの建物ユニットである。占領または略奪すると、場所に応じた素材が手に入る。
プレイヤーの城:他のプレイヤーの城である。偵察または略奪を行うことができる。偵察すると、城の兵力情報が手に入る。略奪し、成功すると、建築素材と銀貨が手に入る(略奪は交戦ではない。資源は少量のみ手に入る)。

黄巾軍
敵ユニット。倒すと武将育成系素材が手に入る。

野外要塞
大型敵ユニット。挑戦すると集結状態になる。最短5分、最長60分。最低2人、最高12人のプレイヤーが集結し、協力して戦う。倒すと武将育成素材、元宝、建築素材が大量に手に入る。

対戦系のインタラクションが発生すると、毎回令牌を1個消費する。令牌は毎日の任務で獲得するか、元宝/銀貨で購入する。

・戦役ダンジョン
メイン戦役

現在、全部で28章が実装されている。各章は10ステージ。他のゲームのメインストーリーに相当する。

ステージに挑戦し、クリアすると、元宝、ガチャアイテム、装備育成素材、建築素材が報酬として手に入る。各ステージの目標をクリアすると星が手に入り、星を溜めると宝箱報酬が手に入る。

演義戦役

全8章。各章38ステージで構成されている。メイン戦役進度に応じて解放される。他のゲームのチャレンジダンジョンに似ている。

このモードのステージでは、特定の陣容を使わなければならない。プレイヤーの戦略が試される。このモードでは、元宝と各種建築素材が報酬として手に入る。章クリアにより、武将キャラのかけらが手に入る。

競技場
簡易的なPvPモード。毎日5回まで挑戦できる。挑戦する度に自動で3人の挑戦相手が表示され、そのうちの1人を選んで挑戦する。
勝利するとポイントが手に入る。ポイントによってプレイヤーのランク順位が決まる。

軍団(ギルド)


▲軍団領地画面。軍団メンバー間の連携で、攻撃されても協力して反撃できる。

軍団贈り物(軍団礼物)
毎日、軍団任務クリア後に軍団贈り物が解放され、武将育成素材が手に入る。


軍団領地
大世界マップの特定のエリアに位置する。軍団メンバーは城を軍団領地に移転させることができる。移転させると、略奪に遭うリスクが低下する。

軍団神獣
軍団ボス戦。軍団メンバー間で与ダメージ進度を共有する。与えたダメージに応じて軍団通貨(軍団代幣)、銀貨、糧秣が手に入る。軍団通貨は軍団商店で素材報酬との交換に使用できる。

軍団科学技術
軍団通貨を消費すると、軍団科学技術研究を行うことができる。軍団メンバーの出陣キャラの能力値、建物レベルアップ速度、科学技術研究速度、素材産出量が増加する。

 

課金システム

パック商品
このゲームには中国元で購入できるパックが5種類用意されており、毎日更新される。今作のパック内容は主に有料通貨・各種建設素材・武将招募券の3種類。

パス・マンスリーカード

 マンスリーカード(月卡)が2種類、パス(通行証)が1種類、成長基金が1種類、ウィークリーカード(週卡)が1種類、合計5種類の長期型有料商品が用意されている。

ガチャ

ガチャには常駐ガチャとイベントガチャの2種類がある。ガチャを引くと「招募令」を消費する。青、紫、オレンジグレードのキャラが手に入る。25回以内に必ずオレンジグレードのキャラが手に入る。毎日無料で1回引ける。

イベントガチャでは、特定のキャラの入手確率がアップする。

元宝とガチャアイテムの入手数を考慮すると、ゲーム序盤はどのプレイヤーもガチャを引きやすい。

中終盤になると、キャラ育成の需要によりガチャの需要が大幅に高まり、無料の元宝だけでは足りなくなる。主に課金ユーザーに向けたシステムだ。

無課金ユーザーにとっては、序盤に手に入るキャラクターが序盤のPvEをクリアするのに役立つ。また、プレイヤーのガチャ習慣を養成する役割がある。中終盤になると、キャラを収集するうえでガチャへのニーズが高まる。

・課金タイミング

プレイヤーの課金タイミングについて調査を行った。
(一部に筆者の一般ユーザーとしての主観的予測が含まれる)



・ゲームサイクル



・コミュニティ、ユーザー評価




アプリストアやSNS、情報メディアを中心に本作のユーザー評価を要約してまとめた。

  • 良い点

    ◆壮大で、臨場感がある
    ◆キャラの立ち絵がダイナミックで、ハイクオリティー
    ◆序盤の報酬が多い
    ◆リアルタイムな戦闘の戦略性が高い
    ◆兵の布陣や武将の組み合わせを考えるのが面白い
    ◆行軍が自由、大地図を自由に探索できる
    ◆場面転換時の水墨画風CGアニメが美麗
    ◆デイリーミッションの数が程よく、負担が少ない



  • 悪い点

    ◆課金要素が多すぎる
    ◆兵種・武将のバランスが悪い。一部の武将が強過ぎる
    ◆マルチプレイイベントが少ない
    ◆同時接続人数が多いと処理が遅くなったり、接続が切断されたりする
    ◆バグが多過ぎる
    ◆ガチャで良い武将が手に入る確率が低い
    ◆UIが分かりにくい。アイコンが多過ぎる
    ◆大地図上の一部の建築要素の表示が分かりにくい

総評

手動操作を楽しめるアクションRPGゲーム

今作は、前作『臥龍吟』で蓄積した良好な評判のおかげで、オープンβ版のリリース当初から広く注目されていた。ディベロッパーが強調する自由な行軍と大規模な攻城戦により、多くのユーザーを引き付けた。

今作の全体的な構造とシステムは他のウォーシミュレーションゲームと似ている。そのため、数多く存在する同テーマの作品からいかにしてユーザーを確保するかが成否の鍵を握っている。

ユーザーの反応では、ディベロッパーの推す自由度のほか、武将の連携についても高く評価されている。

プレイヤーの言及する問題点としては、課金要素が多過ぎることが第一に挙げられる。しかし、これはシミュレーションゲームというジャンルの課金モデルにも関係する。ブラウザー版に続いてモバイル版第2作をプレイした一部ユーザーは、課金要素が多過ぎると感じるかもしれない。

ただし、競合作品と比較すると、今作の課金要素はそれほど多くない。

システム以外では、今作のグラフィックが好評である。場面転換時の水墨画風CGアニメと丁寧に描かれた武将イメージが臨場感を生み出している。ドラマ版俳優を声優として起用している点は、ディベロッパーの誠意を感じさせる。

今作は2月末のオープンβ版リリースから3月末までの間に、iOSセールスランキングで最高34位を獲得し、150位以内を確保している。商業的にはひとまず成功を収めているといえる。次に重要になるのは、バージョンアップデートとイベント実施の頻度をコントロールし、ユーザーをつなぎとめることだ。



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■執筆 <株式会社スパイスマート>
スマートフォンゲーム内運用に関する調査・分析を行うリサーチ事業とコンサルティング事業を展開しており、「LIVEOPSIS(ライブオプシス)」というサービス名称で各種ソリューションを提供。

 

株式会社スパイスマート
http://corp.spicemart.jp/

会社情報

会社名
株式会社スパイスマート
設立
2015年7月
代表者
代表取締役 久保 真澄
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