東宝、第1四半期決算は営業益275%増の105億円…「シン・エヴァンゲリオン」や「名探偵コナン緋色の弾丸」大ヒット、「ウマ娘」も好調なセールス

東宝<9602>は、この日(7月13日)、第1四半期(2021年3~5月)の連結決算を発表し、営業収益578億0800万円(前年同期比75.1%増)、営業利益105億1800万円(同275.2%増)、経常利益108億4700万円(同275.2%増)、最終利益66億8400万円(同2966.1%増)と大幅な増収・増益を達成した。「シン・エヴァンゲリオン劇場版」や「名探偵コナン 緋色の弾丸」が大ヒットしたことに加えて、「ウマ娘 プリティーダービー Season2」や「呪術廻戦」なども貢献した。


・営業収益:578億0800万円(同75.1%増)
・営業利益:105億1800万円(同275.2%増)
・経常利益:108億4700万円(同275.2%増)
・最終利益:66億8400万円(同2966.1%増)


決算の詳細は以下のとおり。

新型コロナウイルスの適切な感染予防の取り組みを講じたうえで営業を継続していたが、4月23日に発出した三度目の緊急事態宣言により、東京・大阪等の一部の自治体による休業要請を受けて映画館や商業施設等の臨時休業、映画の配給作品の公開延期や演劇公演の中止を余儀なくされた。一方で、東宝のアニメーションレーベル「TOHO animation」作品が業績に寄与した。

なお、劇場や商業施設等の臨時休業期間中の人件費・借家料・減価償却費等ならびに中止した演劇公演に係る製作費等を「臨時休業による損失」として特別損失に、新型コロナウイルス感染症の影響に伴う特例措置の適用を受けた雇用調整助成金及び国や地方自治体等からの助成金等を「助成金収入」として特別利益に計上している。


■映画事業
映画営業事業では、東宝において、共同製作や配給した作品のうち、「シン・エヴァンゲリオン劇場版」「名探偵コナン 緋色の弾丸」が大ヒットした。また、前期公開した「劇場版『鬼滅の刃』無限列車編」のロングランが引き続き業績に寄与した。東宝・東和ピクチャーズとの共同配給において、「映画 モンスターハンター」を配給した。しかしながら、三度目の緊急事態宣言以降は、予定していた配給作品が相次いで公開延期となった。

これらの結果、映画営業事業の営業収入は123億2100万円(前年同期比244.4%増)、営業利益は27億0200万円(前年同期に比べ26億1500万円増)となった。

なお、東宝における映画営業部門・国際部門を合わせた収入は、内部振替額(11億1600万円、前年同期比0.8%減)控除前で156億8100万円(同352.3%増)であり、その内訳は、国内配給収入が118億9400万円(前年同四半期に比べ112億0100万円増)、製作出資に対する受取配分金収入が2億9100万円(前年同期比194.9%増)、輸出収入が13億6400万円(同196.2%増)、テレビ放映収入が3億8500万円(同11.2%増)、ビデオ収入が1億5000万円(同77.9%減)、その他の収入が15億9400万円(同34.4%増)だった。また、映画企画部門の収入は、内部振替額(億6300万円、前年同期比29.6%増)控除前で4億1300万円(同115.4%増)だった。

映画興行事業では、TOHOシネマズ等において、前記配給作品がヒットしたことや、前年同期は全劇場で休館や時間短縮等の大きな制約を受けたこともあり、大幅な増収となったが、4月下旬からの公開作品の延期や東京・大阪等の休館があり厳しい状況となった。これらの結果、第1四半期累計における映画館入場者数は、600万人と前年同期比243.2%の増加となった。

映画興行事業の営業収入は128億7900万円(前年同期比265.3%増)、営業利益は2億9500万円(同17億2200万円の営業損失)となった。

なお、第1四半期累計中の劇場の異動はない。当企業集団の経営するスクリーン数は全国で702スクリーンとなっている。

映像事業では、TOHO animation作品が各種事業において好調に推移した。東宝のパッケージ事業において、Blu-ray、DVDでTVアニメ「ウマ娘 プリティーダービー Season2」が好調なセールスとなった他、TVアニメ「呪術廻戦」等を提供した。アニメ製作事業・実写製作事業では、TVアニメ「呪術廻戦」「僕のヒーローアカデミア」等の商品化権収入その他製作出資した作品の各種配分金収入に加え、TVアニメ「ゴジラ S.P〈シンギュラポイント〉」の利用収入もあり、増収となった。

出版・商品事業では、劇場用パンフレット、キャラクターグッズにおいて映画「名探偵コナン 緋色の弾丸」、TVアニメ「呪術廻戦」の販売が伸長した。ODS事業では、アニメーション映画「あんさんぶるスターズ!! ES Music Garden - Delay Viewing -」等を提供した。TOHOスタジオでは、制作及びスタジオ事業の一体運営を図り、順調に稼働した。東宝映像美術及び東宝舞台では、映画やTV・CM等での舞台製作・美術製作やテーマパークにおける展示物の製作業務に関して、一部持ち直しの兆しがみえたものの、厳しい状況であった。

これらの結果、映像事業の営業収入は124億8100万円(前年同期比62.1%増)、営業利益は30億8200万円(同182.3%増)となった。

なお、東宝における映像事業部門の収入は、内部振替額(26億5100万円、前年同期比144.7%増)控除前で128億3800万円(同88.0%増)であり、その内訳は、パッケージ事業収入が31億4300万円(同4.4%減)、出版・商品事業収入が7億8600万円(同653.0%増)、アニメ製作事業収入が83億3700万円(同167.1%増)、実写製作事業収入が2億9100万円(同11.3%増)、ODS事業収入が2億7600万円(同427.2%増)、その他の収入が200万円(前年同期に比べ200万円増)だった。

以上の結果、映画事業全体では、営業収入は376億8200万円(前年同期比154.6%増)、営業利益は60億7900万円(同5億4400万円の営業損失)となった。


■演劇事業
演劇事業では、東宝で、三度目の緊急事態宣言が発出され、公演を一部中止したが、各自治体針・要請等を踏まえ、公演を再開した。帝国劇場においては「Endless SHOCK -Eternal-」「モーツァルト!」「レ・ミゼラブル」を上演した。シアタークリエでは「GHOST」「きみはいい人、チャーリー・ブラウン」「カメレオンズ・リップ」「ジャニーズ銀座2021TOKYO EXPERIENCE」を上演し、その他全国へと社外公演を行った。同ほぼ全公演が中止だったこともあり、大幅増収となった。東宝芸能では、一部の舞台やコンサートの公演中止等があったが、映像作品等は持ち直しの傾向があり所属俳優が順調に稼働した。

以上の結果、演劇事業の営業収入は28億8400万円(前年同期比327.4%増)、営業利益は4億8300万円(同7億1000万円の営業損失)となった。

なお、東宝における演劇事業部門の収入は、内部振替額(億3300万円、前年同期比29.3%減)控除前で24億4700万円(同656.6%増)であり、その内訳は、興行収入が19億5300万円(同576.3%増)、外部公演収入が4億5500万円(前年同期に比べ4億5500万円増)、その他の収入が億3800万円(前年同期比11.8%増)だった。


■不動産事業
不動産賃貸事業では、オフィス環境の変化や商業施設の休館等で、引き続き厳しい状況下にあった。企業集団の保有する賃貸用不動産の空室率については、0.8%台で推移したが、一時的なテナントの入れ替え等もあり減収となった。不動産賃貸事業の営業収入は67億2500万円(前年同期比3.4%減)、営業利益は31億3600万円(同5.4%減)となった。

企業集団の固定資産の含み益については、2021年1月1日の固定資産課税台帳の固定資産税評価額を市場価額として、税効果を考慮した後の評価差額のうちの東宝の持分は約3504億円となっている。(本情報開示時点までに最新の固定資産税評価額の入手が困難なため、一部に2020年1月1日の数値を使用している。当該含み益の開示は、「賃貸等不動産の時価等の開示に関する会計基準」に基づくものではなく、当会計基準とは別に、開示情報の充実性の観点から従来より引き続き自主的に行うものだ。)

なお、東宝における土地建物賃貸部門の収入は、内部振替額(2億0100万円、前年同期比2.6%減)控除前で71億7200万円(同2.8%減)だった。

道路事業では、老朽化によるインフラ整備をはじめとする公共投資が堅調に推移するなか、スバル興業と同社の連結子会社が、技術提案等を通じた積極的な営業活動により新規受注や既存工事の追加受注に努めたが、道路事業の営業収入は74億7100万円(前年同期比1.8%減)、営業利益は15億7000万円(同4.8%減)となった。

不動産保守・管理事業では、東宝ビル管理及び東宝ファシリティーズにおいて、ホテルや劇場等、商業施設の受注案件の延期や減額により減収となったが、経費削減等に努めた結果、増益となった。その結果、営業収入は24億0700万円(前年同期比3.9%減)、営業利益は2億1500万円(同164.1%増)となった。

以上の結果、不動産事業全体では、営業収入は166億0400万円(前年同期比2.8%減)、営業利益は49億2200万円(同2.5%減)となった。

その他事業娯楽事業及び物販・飲食事業では、東宝共榮企業の「東宝調布スポーツパーク」において利用者数が増加傾向にあり、好調に推移した。TOHOリテールの飲食店舗・劇場売店等においては、外食需要の厳しい状況が続き、休業や一部店舗を閉店した。その結果、その他事業の営業収入は6億3600万円(前年同期比39.3%増)、営業損益は3900万円の損失(同7900万円の営業損失)となった。


 
■2022年2月通期の見通し

2022年2月通期の業績は、営業収益2140億円(前期比11.5%増)、営業利益320億円(同42.6%増)、経常利益335億円(同38.5%増)、最終利益205億円(同39.6%増)を見込む。


・営業収益:2140億円(同11.5%増)
・営業利益:320億円(同42.6%増)
・経常利益:335億円(同38.5%増)
・最終利益:205億円(同39.6%増)


【進捗率】
・売上高:27.0%
・営業利益:32.9%
・経常利益:32.4%
・最終利益:32.6%
東宝株式会社
https://www.toho.co.jp/

会社情報

会社名
東宝株式会社
設立
1932年8月
代表者
代表取締役社長 社長執行役員 島谷 能成
決算期
2月
直近業績
売上高2283億6700万円、営業利益399億4800万円、経常利益427億9000万円、最終利益295億6800万円(2022年2月期)
上場区分
東証プライム
証券コード
9602
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