ゲームで稼ぎ、家を建てた猛者現る 今、知っておきたいブロックチェーンゲーム(NFTゲーム)のおおよそ


フィリピンでブロックチェーンゲーム『Axie Infinity』をプレイし、家を建てたというニュースがあった。「ほんまかいな」というのが最初の印象だ。そこで運営元であるSKY MAVISに確認したところ、サングラスで不敵な笑みを浮かべる絵文字付きで「YES」との返答があった。

先日モバイルファクトリー<3912>のNFTマーケットプレイス「ユニマ」の発表会において、宮嶌社長が「「ゲームをすることでお金が稼げる、これがゲーム3.0」と説明を行っていた。

これはブロックチェーンの技術によって、アイテムなどのデジタルデータが、

・誰によって作られ
・どんな経路で流通しているか

がわかるようになっており、所有者に対しての信頼が得られるようになったというのが重要なポイントだ。これによって育てたキャラクターをやアイテムなどのデジタルデータを、マーケットプレイスで売買することが可能になったわけだ。これをPlay to Earn(P2E)と呼び、まさにゲームをプレイして稼ぐ時代が到来しそうな状況だ。

本稿では、そんなブロックチェーンやNFTのおおよその概要や課題に触れつつ、ブロックチェーンゲームのタイトルを紹介していく。

2021年8月4日追記
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ブロックチェーン・NFTを利用するメリット


ブロックチェーンは、ネットワーク内での取引の記録を「ブロック」と呼ぶ部分に記録する新しいデータべースだ。これまでの中央集権的なサーバーとは異なり、P2P技術、古くはWinnyなどのファイル交換ソフトでも利用された技術をベースにしている。

その特徴の一つとして、先述した非改ざん性がある。ブロックチェーンはその仕組みとして、「ブロック」に過去の履歴を含めた記録を保存した上で連結させている。そのため改ざんを試みても、全てのブロックのデータ変更を行うことが困難であることから、不正(非改ざん性)に強いと言われる理由となっている。

ブロックチェーンのゲームにおいても、その特徴を持っていると言っていいだろう。

またNFTもそんなブロックチェーンの非改ざん性の強みを生かした技術となる。デジタルデータとして従来どおりかんたんにコピーは可能であっても、この技術によって所有者として信頼が得られるというわけだ。改ざんができないため、信用の担保が得られるというのが、ブロックチェーン及び、NFTの大きな特徴となる。

そんな特性を利用することで、ブロックチェーンゲームにおいては、それぞれのタイトルが対応していればゲーム間のアイテム移動が可能や売買が可能になっている。そのためサービス終了になっても他のゲームで利用できる"可能性"がある。

 

ブロックチェーン・NFTゲームでの課題とは


現在ゲーム業界において、多くの利益を生んでいるガチャは、ブロックチェーンやNFTを使ったゲームでは取り入れにくいだろう。というのも、NFTは資産性を有するデータであるため、これらのデータを排出するような有償ガチャを行うことは、賭博に該当する可能性が高いとされているからだ。


▲第2版ブロックチェーンコンテンツ協会ガイドライン(PDF)より

(※)この点に関しては、ブロックチェーンコンテンツ協会のガイドラインを公開中だ。あわせて確認してみよう。

第2版ブロックチェーンコンテンツ協会ガイドライン(PDF)
https://eb3d626b-4b51-42f2-b2d4-0f682cc5645e.filesusr.com/ugd/e9a87a_2028e5c7115d4fcd933e9f55e6262762.pdf

そのためゲーム内では、新たな売上方法の確立を模索する必要がある。

またその他、課題としては、現状ではブロックチェーンやNFTを扱う上での独特の仕組みを理解する必要があることだ。例えば、以下の文章を見て欲しい。

オークションの利用の際には、自身のウォレットMETAMASK作成。イーサリアムからウォレットに送金する必要がある。METAMASKの作成時には「シードフレーズ」を保存しておき、人には教えないようにしよう。作成が済んだらMETAMASKとオークションサイトを接続する。

とか

オークションでは、購入時の暗号資産代のほか、ガスフィー(手数料)が必要になります。

とか

ガス代(=ガスフィー=手数料)が高すぎて萎えるわー。


なんて見知らぬ単語と仕組みが多くなるとげんなりしてしまう。スマホゲームでは、インストール後いかにプレイヤーが脱落するのを減らせるか各社が苦心している傍ら、この状況ではなかなか取り付くしまもない。

そんな敷居の高さが新しく始めようとするプレイヤーの大きなハードルにもなっている。またMETAMASKなどのウォレットの利用についても、非常に高いハードルになっていると言っていい。

加えて、利用規約で禁止しているにもかかわらず、SNSを除けばゲームのアカウントの売買や詐欺従来のアカウント自体の売買は自身の暗号資産のセキュリティにも大きく関わってくるため、非常に危険な状況になる可能性はある。

スマートフォンゲームでも、多々アカウントを騙し取られた類のトラブルを見るが、ブロックチェーンゲームでは、ウォレット情報を奪われることは、より危険度の高い状況に陥るというのは、頭に入れておいたほうが良いだろう。

さらに税制面においても注意が出てくる可能性がある。例えば一般社団法人 日本仮想通貨税務協会では

② NFT(Non-Fungible Token)の課税上の取り扱い
NFT(Non-Fungible Token)はFungibility(代替性)がないトークンを言います。ブロックチェーンを用いたゲーム等に使用され、それぞれ固有の値や特徴を持ち(非代替性)ゲーム内外の市場において、キャラクターやアイテムとして取引が行われています。そこで、NFT同士の交換も仮想通貨の交換と同様に、所得を構成する取引であるか否かが論点が生じます。
所得税法では、個人の担税力を増加させる利得はすべて所得を構成すると解されています。NFTそのものが独立して価値を有するものであって、その売買や交換により所得が生じた場合には原則として雑所得として課税されると考えられます。その場合、原則として売買や交換の都度、取引を認識する必要があります。
ただし実務上は、NFT同士の交換については交換時のNFTの時価の把握が困難であることも考えられます。合理的な労力を払うことによって交換時の時価が把握できない場合には、課税上弊害がない限り円貨や他の仮想通貨との交換時に取引を認識することも容認されるものと思われます。
なお、所得として認識する際は反復継続して取引を行っているか、営利を目的としているか等の取引内容により譲渡所得、一時所得、雑所得等の所得区分は異なる可能性があります。


とその見解を示しており、確定申告などに影響するケースが発生することもあるだろう。

https://www.facebook.com/jctassociation/posts/2364670080223406

また先日、高い運用益があるかと、暗号資産を利用したスマートフォンのゲームをプレイしたところ、結局送金ができず業者との連絡も途絶えたというニュースが報じられたばかりだ。あくまでもゲーム内で完結し、投じた資金は帰ってこないことを理解した上でプレイする多くのスマートフォンゲームとは異なり、おいしい話が飛び交いやすい状況になってくるのは間違いないだろう。

 

それでも未来は明るいブロックチェーン・NFTゲーム


超大手のゲーム会社がブロックチェーンのR&Dエンジニアの募集を開始している。次世代ゲームのための高度で安全なコミュニティ機能やゲームプレイにつながる必要な技術をまとめる人材が欲しているという。

スクウェア・エニックスは、NFTデジタルシール「資産性ミリオンアーサー」を発表し、ゲームではないものの既にNFT領域での参入を果たしている。表向きには表明していないものの、どの企業も注目しているだろう。

またNFTマーケットではGMOやメルコインやLINE、モバイルファクトリーなどが購入に至るまでの煩雑を解決するためのUI/UXの向上をすること。また多くのゲームが登場した際には、セキュリティへの対策も行ってくるのは間違いないだろう。

90年代でにインターネットで買い物をする日が来ると思っただろうか。00年代でスマートフォンが登場した。スマートフォンで買い物をし、動画を配信し投げ銭を送ったり受け取ったるする。そんなことができるようになるとは、ほとんどの人が思っていなかったはずだ。

今回のブロックチェーン・NFTでも今の段階では、想像もしなかった状況になると筆者は信じている。

 

ブロックチェーンを利用したゲームタイトルを紹介


さてここからは、ブロックチェーン技術を利用したゲームタイトルを紹介していこう。冒頭に紹介した『Axie Infinity』や現在開発中の期待の新作タイトルも含めている。


■Axie Infinity



『Axie Infinity』は、イーサリアムプラットフォーム上で「アクシー」と呼ばれる空想上の生き物を集めて育てるポケモンライクなゲームとなっている。アクシーは収集や育成だけではなく、アリーナでのチーム戦やマーケットで売買・交換が可能になっている。なお5月末から7月にかけてDAUを3倍以上伸ばしたが、運営しているSKYMAVISに確認したところ、インフラ周りの強化を行い、プレーヤーがより簡単にプレイできるようにしたためと返答があった。

日本語には現在未対応。先日SKY MAVISに連絡をとった際には「将来的には対応するかもしれないものの、現在は新プロジェクトを優先している」と返答があったため、実現は遠いというのが、筆者の感想だ。

https://axieinfinity.com/​


■クリプトスペルズ



「クリプトスペルズ(CryptoSpells)」はウォレットなし、仮想通貨イーサリアムなしで遊べるブロックチェーンゲーム(Dappsゲーム)。ブロックチェーンゲームとは、NFT(Non-Fungible Token)でカードを発行することで、ユーザーは所有権が証明され、OpenSeaなどゲーム外のマーケットプレイスでも自由な取引を行うことが可能となっている。

https://cryptospells.jp/


■My Crypto Heroes(マイクリプトヒーローズ)



『マイクリ』は、ゲームにかけた時間も お金も 情熱も、あなたの資産となる世界。歴史上のヒーローたちを集め、育て、編成し、クリプトワールド制覇を目指すブロックチェーンゲーム。スマホ、PCのどちらからでもプレイできる。

https://www.mycryptoheroes.net/ja​


■マイクリプトサーガ 



マイサガは、世界No.1(注2)を記録したブロックチェーンゲーム『My Crypto Heroes』(以下、マイクリ)の開発陣が再集結し、最先端のブロックチェーン技術とノウハウを投入して開発している。マイクリのNFT(ヒーロー)は、本作のNFT(シンカード)としても利用できる。

マイサガのNFTである「シンカード」は、ゲームプレイによって得られる”KP”を蓄積し”シンカ”することで獲得できる。シンカードは、ブロックチェーン上のNFTとして生成され、ユーザーが所有し自由にトレードすることができるだけでなく、特別な能力や機能を持つ。

また同タイトルで採用しているブロックチェーン”Polygon”は、イーサリアムのスケーリングソリューションとして、サイドチェーン技術Plasmaを応用することでセキュリティを担保しつつ、低ガス料金・高スループットを実現。コンセンサスアルゴリズムにPoSを採用し、NFTを生成するために必要なガスはイーサリアムの1/1000以下と、環境にもやさしいブロックチェーン。

https://www.mycryptosaga.net/ja

■『駅メモ! Our Rails』



「駅メモ! Our Rails」(略称:アワメモ!)では、ユーザーがプレイヤーとしてプレイするだけではない、さまざまな体験が可能になる。

駅メモ!の既存機能にユーザー自ら駅を盛り上げることができる「フェア機能」、トークン化された駅(以下、駅トークン)を購入して、ユーザー自身が駅のオーナーになれる「ステーションオーナー機能」の2つの新機能を加えた。

ユーザーが主体となって、ゲームに参加することで実際の駅を盛り上げることや、運営の一部を担うことで収入を得ることができ、ゲーム内での働きかけが現実世界にも作用する新しい形のゲームとなっている。

https://our-rails.ekimemo.com/

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■The Sandbox(ザ・サンドボックス)



『The Sandbox』(サンドボックス)はブロックチェーン技術を基盤とした「ユーザー主導のゲームプラットフォーム」。『The Sandbox』はMetaverse(メタバース)と呼ばれる仮想空間に、4つのサービスを提供している。

1. VoxEdit:ボクセルアート制作エディター
2. Game Maker:ゲーム制作エディター(コードエディター)
3. マーケットプレイス:ASSETの取引所
4. ゲーム環境:ゲームの開発、提供、収益化環境

『The Sandbox』は、マインクラフトなどのシュミレーションゲームが好きなゲーマーには、とても馴染み深いコンセプトのゲームプラットフォーム。今後、『The Sandbox』は、ユーザー自身が設計したゲームの構築ができる、独立したバーチャルワールドへ発展する。

なお、スクウェア・エニックスが出資していることでも注目を集めている。

https://sandbox.game/jp


【『The Sandbox』ブロックチェーン版ゲームプラットフォームの概要】
名 称 : The Sandbox
対応 OS : Windows (64bit 版) *Mac 及びモバイル OS 近日対応予定
リリース日 : 2021年第1四半期



■Sorare​



『Sorare』は、プレイヤーがクラブ公式のサッカー選手のデジタルカードを取引できるファンタジー・フットボールとなる。運営会社のSORAREはファンタジー・フットボールを通じて、暗号資産を誰もが楽しく利用できるようにすることを使命としているという。

今年3月にユベントスに所属するクリスチャーノ・ロナウド選手のNFT化したレアカードに28万9920ドル(約3200万円)の値がついたことでも、大きく話題になった。またコインチェックとの連携も決定し、同社のNFTマーケットでの取り扱いも視野にあるという。

https://sorare.com/


■『Big Time』



現在開発中のMMOアクションRPGとなる同タイトルは、古代の謎や未来文明を探検し、時間の壁を破壊する謎の脅威を発見するために冒険する物語となる。またゲームの特徴として、NFTのレアアイテムの収集ができるという。

アクション部分においては、「タイムウォーリアー」「クロノマンサー」といった複数のクラス(職業)を選択でき、スピード感のあるバトルを目指しているとのこと。『Fortnite』『Gears of War』などAAAタイトルの開発に関わったスタッフが開発を行っている。NFTを使ったアーリーアクセスを近日開始するなど、ブロックチェーン技術をふんだんに使って運営を行っている。

https://bigtime.gg/


■2022年1月5日追加
なおサイバードが、ゲームモデルはプレイして稼ぐPlay-to-earn(P2E)方式のブロックチェーンサッカーゲーム「Blockchain Football」の開発を発表している。