厚生労働省、コロナウイルスの影響を受ける事業者への雇用調整助成金の要件を緩和

厚生労働省は、コロナウイルス感染症の影響に伴い、日中間の人の往来が急減したことにより、事業活動が急激に縮小する事業所が生じ、雇用への悪影響が見込まれることから、日中間の人の往来の急減により影響を受ける事業主であって、前年度又は直近1年間の中国(人)関係の売上高等が総売上高等の一定割合(10%)以上である事業主について、雇用調整助成金の特例を適用する。

雇用調整助成金とは、経済上の理由により事業活動の縮小を余儀なくされた事業主が、労働者に対して一時的に休業、教育訓練又は出向を行い、労働者の雇用の維持を図った場合に、休業手当、賃金等の一部を助成するものだ。受給手続きなど詳細については、労働局やハローワークで確認してほしい。

1. 要件緩和等
(1) 生産指標の確認対象期間を3か月から1か月に短縮する。
 現行、販売量、売上高等の事業活動を示す生産指標の最近3か月間の月平均値が、前年同期と比べ10%以上減少している事業所であることを必要としているが、この比較期間を最近1か月とする。

(2)最近3か月の雇用指標が対前年比で増加していても助成対象とする。
 現行、雇用保険被保険者及び受け入れている派遣労働者の雇用量を示す雇用指標の最近3か月間の月平均値が、前年同期と比べ5%以上を超えかつ6名以上(中小企業事業主の場合は10%を超えかつ4名以上)増加していないことを必要としているが、これを撤廃する。

(3)事業所設置後1年未満の事業主についても助成対象とする。
 現行、生産指標等を前年同期と比較するため、事業所設置後1年未満の事業主は対象となっていないが、本特例においては、新型コロナウイルス感染症を受けて中国湖北省への渡航中止勧告が出された1月24日時点において事業所設置後1年未満の事業主についても、助成対象とする。

その場合、中国(人)関係の売上高等の総売上高等に占める割合は、事業所設置から初回の計画届前月までの売上高等により確認し、(1)の生産指標は、令和元年12月と初回の計画届前月の指標とを比較することとする。
 
2. 計画届の事後提出を可能とする。
現行、休業等に係る計画届は事前の提出が必要が、1月24日以降に初回の休業等がある計画届に関し、3月31日までに提出があれば、休業等の前に届け出られたものとする。
 
3. 特例対象期間
1月24日から7月23日の間に開始した休業等が対象となる。


なお、「影響を受ける」事業主の例は以下のとおり。

・ 中国人観光客の宿泊がなくなった旅館・ホテル
・ 中国からのツアーがキャンセルとなった観光バス会社等
・ 中国向けツアーの取扱いができなくなった旅行会社
※総売上高等に占める中国(人)関係売上高等の割合は、前年度または直近1年間(前年度が12か月ない場合)の事業実績により確認するので、初回の手続の際に、中国(人)関係売上高等の割合を確認できる書類を用意してほしい。


【助成内容と受給できる金額】