【マイネット決算説明会】リカバリープランが着々と進捗し「組織が筋肉質化」「利益構造は着実に実現」(上原社長) 2020年の業績V字回復に自信



マイネット<3928>は、11月14日、第3四半期(2019年7月~9月)の連結決算を発表し、翌11月15日に東京都内で証券アナリスト・機関投資家向けの決算説明会を開催した。3四半期連続で営業・経常・最終損益が赤字計上となった同社だが、決算説明会ではかなりの時間を費やして、業績立て直しのための施策「リカバリープラン」の進捗状況を説明した。上原仁社長(写真)は、プランは順調に進捗しているとし、来期(2020年12月期)からの業績V字回復に自信を示した。

まず、簡単に同社の業績悪化の経緯から振り返っていこう。同社は、かつては一定期間運営し実績のあるタイトルを買い取り、改修を施した上で運営することで安定した収益を積み重ねて成長してきたが、今年から見込みのある赤字タイトルを買い取って再設計することで、大きな収益を狙う「再設計型」に着手した。いわば積極的にリスクを取ることで大きな果実を求めたわけだ。しかしその結果は期待した成果が得られず、大きな損失を抱えることになった。

その反省から、第2四半期の決算で、「再設計型」からの撤退と構造改革を行うことで従業員数と人件費を適正規模に戻すとともに、データドリブン運営による効率化などで安定的な利益創出を目指す方針に転換した。新たな成長事業として、AI事業とクラウドゲームに注力していく考えも示した。これがリカバリープランの概要だ。
 
▲上原社長は人員削減に関して「非常に厳しいアクション」としながらも「手厚く送り出したい」と語った。


ここで最も難しいのは、人員削減だが、着々と進んでいると明かした。第3四半期末ですでに21名減らしており、今後は来期(2020年12月期)の第1四半期にかけて合計196名減らす予定だ。全従業員678名の約3割に相当する規模となる。上原社長は、「痛みを伴うものだが、決めたからには最短で行いたい」と苦渋の決断だが、迅速に行う考えを示した。
 


これに伴い、人件費と外注費が大幅に減る見通しだ。2019年9月で7億4600万円だった人件費と外注費は、2020年1月には20.1%減の5億9100万円まで減らす目標だ。8月から1月までの外注費・人件費の合算では、23%削減できる見通し。「筋肉質化する組織のもとで、黒字転換する算段が付いた」(上原社長)とのこと。
 


再設計型から撤退するものの、安定した収益の出るタイトルの買い取りは引き続き行っていく方針だ。gloopsのブラウザゲーム事業買収に向けた基本合意書をネクソンと締結し12月から収益に加わる。直近12カ月の業績は、売上高30億円、営業利益7億円だ。ゲーム事業から撤退する事業者が出てきており、gloopsのように運営タイトルを買い取るような事例が増えるとの見方を示した。

このほか、並行して効果検証済みのRPA(認知技術を使った業務の効率化・自動化)の全社展開、運営タイトルの北海道への移管など、同社の強みをより活かせるような体制へ戦略の転換を行ってきた。上原社長は「利益構造への実現は着実に進行して」おり、「第3四半期から第4四半期がV字回復の起点になるのでは」と自信を示した。

なお、成長事業への投資については、AI事業のソリューションサービス「COMPASS」については複数社に提案しており、そのうち1社とは既に契約を締結を行っている。同事業は、単価の高さもあって今後の売上への貢献も期待されるとした。

クラウドゲーム構想については、Googleの『Stadia』のような、既存タイトルのストリームプレイ化することではなく、大容量化と同時接続数の増加によるユーザーの成熟化により、今までとは異なる収益構造を目指しているそうだ。具体的なイメージが持ちづらいが、今後の追加発表が期待される。
 


 
■第3四半期と第4四半期の見通し

ここで第3四半期の業績動向と第4四半期(10~12月)の見通しをみていこう。繰り返しになるが、売上高は前四半期比で0.3%増の29億5000万円とほぼ横ばいだった。これまで買い入れた既存タイトルの売上の逓減が続いたものの、新規で1タイトルを仕入れたことでカバーし、前四半期並みの数字を確保した。


営業損益については、2億6000万円の赤字だった。前四半期の2億1000万円の赤字から拡大した。既存の赤字タイトルが収益を圧迫したとのことだった。第3四半期中に仕入れたタイトルは、売上面では大きく寄与したが、ほぼ同額のコストが発生しているため、利益寄与はごくわずかであったようだ。
 
 
▲費用面を見ると、人件費・採用費は大きくは減っていない。広告宣伝費が4900万円増加したことが目立った。この増加は、一時的なものとした。非公開案件のプロモーションで使用したようで、回収は困難だったったとのこと。この件は今回の構造改革実施の背景でもあるとのことだった。


第4四半期は、売上高30億5000万円~33億5000万円、EBITDA(税引前利益に支払利息、減価償却費などを加える)7200万円~2億2200万円、営業損益1億3300万円の赤字~1700万円の黒字を見込む。第2四半期で赤字だったEBITDAが黒字転換するほか、営業損益についてもレンジ上限で黒字と改善を見込む。この四半期は、来期からの反転攻勢が本当に可能なのかを占う、いわば「リカバリープラン」の試金石として注目するべきであろう。

 
株式会社マイネット
http://mynet.co.jp/

会社情報

会社名
株式会社マイネット
設立
2006年7月
代表者
代表取締役社長 岩城 農
決算期
12月
直近業績
売上高87億1700万円、営業利益1億6800万円、経常利益1億2500万円、最終利益1億4300万円(2023年12月期)
上場区分
東証プライム
証券コード
3928
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