サイバーエージェント、「AI Lab」にて早稲田大学の田中宗准教授との産学連携を開始 量子アニーリング等を活用し広告領域における最適化問題の共同研究へ

サイバーエージェント<4751>は、人工知能技術の研究開発組織「AI Lab」において、早稲田大学の田中宗准教授との産学連携を開始したことを発表した。

近年、人工知能(AI)開発の急速な発展に伴い、機械学習の性能を向上させる可能性がある新しい計算技術への注目が高まっており、特に、量子コンピュータやイジングマシンの研究開発が加速的に進んでいる。

イジングマシンは、膨大な選択肢から最適な選択肢を求める問題、いわゆる「組合せ最適化問題」の高精度な解を、高速に得ると期待されている専用ハードウェアであり、なかでも量子力学的な効果を利用した量子アニーリングマシンの活用法を探索する研究開発が世界各地で繰り広げられている。

「組合せ最適化問題」は社会の様々な場面で登場する一方で、しばしばその計算の困難さが課題とされている。

アドテクノロジーの分野でも、効率的な広告配信を行うためには、ある種の最適化問題に基づくアルゴリズムを構築する必要があるため、量子アニーリングマシンなどイジングマシンを用いた高速な計算手法の確立が広告配信最適化の高度化に繋がると期待されている。

このような背景のもと、「AI Lab」では早稲田大学田中宗准教授とともに、量子アニーリングマシン等、イジングマシンを活用した広告領域における最適化問題の共同研究を開始。

広告領域においては、イジングマシンを用いることで最適化問題の近似解を極めて高速に得ることができる点に注目しており、リアルタイム性が求められるRTB広告における配信の最適化や、広告クリエイティブ自動生成における画像素材の組合せ選択など、様々な面での活用が期待される。

本研究で得られた知見は、同社が提供しているダイナミックリターゲティング広告「Dynalyst」などの広告プロダクトや、広告クリエイティブ自動生成の研究などへの応用を目指し、その活用に資する研究として、グラフ理論や統計力学を背景としたイジングマシンへの埋め込み手法の改良、およびライブラリの開発を行い、オープンソースでの公開を予定している。

田中宗准教授は物理学、特に、量子アニーリング・統計力学・物性物理学を専門とし、量子アニーリング等、イジングマシンを活用した研究を牽引する若手研究者。

今回の共同研究では、同社が提供する広告の効果最大化とユーザーの広告体験の向上を目指すともに、イジングマシンを活用する事例としてさらなる学術的発展と、産業的貢献を目指す。


■田中宗准教授プロフィール
早稲田大学 グリーン・コンピューティング・システム研究機構 主任研究員(研究院准教授)
科学技術振興機構 さきがけ研究者、情報処理推進機構 未踏ターゲットプロジェクトマネージャー

2008年東京大学にて博士(理学)取得。東京大学物性研究所特任研究員、近畿大学量子コンピュータ研究センター博士研究員、東京大学大学院理学系研究科にて日本学術振興会特別研究員(PD)、京都大学基礎物理学研究所基研特任助教、早稲田大学高等研究所助教、早稲田大学高等研究所准教授を経て、2018年より現職。

2016年10月より科学技術振興機構 さきがけ研究者を兼任。また2018年より情報処理推進機構 未踏ターゲットプロジェクトマネージャーを兼任。専門分野は物理学、特に、量子アニーリング、統計力学、物性物理学。

NEDO IoTプロジェクト「IoT推進のための横断技術開発プロジェクト」委託事業における「組合せ最適化処理に向けた革新的アニーリングマシンの研究開発」に従事している。量子アニーリングの研究開発を加速させるため、多種多様な業種の方々との情報交換を積極的に行っている。

田中宗准教授 個人website(http://www.shutanaka.com/
株式会社サイバーエージェント
http://www.cyberagent.co.jp/

会社情報

会社名
株式会社サイバーエージェント
設立
1998年3月
代表者
代表取締役 藤田 晋
決算期
9月
直近業績
売上高7202億0700万円、営業利益245億5700万円、経常利益249億1500万円、最終利益53億3200万円(2023年9月期)
上場区分
東証プライム
証券コード
4751
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