【年始企画】BXD手塚晃司氏&内藤裕紀氏に聞く、HTML5プラットフォーム「enza」の立ち上げと手応え、そして今後の可能性

木村英彦 編集長
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スマートフォンゲームアプリ業界の最前線で働く方々に話を伺う年始恒例企画「ゲームアプリ市場のキーマンに訊く2018-2019」。これまでは市場動向の振り返りと展望をメインとしていたが、今回は、各社の個別の状況にフォーカスし、2018年の取り組みや課題、そして、2019年の展望について語ってもらうことにした。

今回、HTML5を使ったブラウザゲームプラットフォーム「enza」の開発・運営を行うBXDの代表取締役社長の手塚晃司氏(写真左)と、取締役でドリコムの社長でもある内藤裕紀氏(写真右)にインタビューを行った。華々しくスタートした「enza」だが、2018年の展開を振り返りつつ、2019年の展望について話を聞いた。


 

■2018年は「enza」をリリース


――:よろしくお願いいたします。まず2018年の取り組みを振り返っていただけますか。「enza」を立ち上げましたが、事実上1からの立ち上げだったのでかなり大変だったかと思いますが。

手塚氏:『アイドルマスター シャイニーカラーズ』(以下、シャニマス)が4月に始まり、その後、『ドラゴンボールZ ブッチギリマッチ』(以下、ブッチギリマッチ)をリリースしました。かなり大変でしたが、想定された大変さではありました。既存のプラットフォーム上でアプリをリリースする際には起こらなかった問題がすべて発生しました(笑)


――:ネイティブアプリ(以下、アプリ)と比べて遊び方などの違いなどはありますか?

手塚氏:ブラウザゲームですので、お客様からはアプリと違う反応があると思っていましたが、それほどでもありませんでした。フタを開けてみると、アプリとの差をあまり感じずに遊んでいただけているのではないかと思います。

内藤氏:開発視点でみますと、リリース前にモックをお見せしたように、HTML5でもアプリのように遊べるゲームが作れることは確認できていたのですが、実際に多くのお客様に遊んでいただくのは初めてでした。手塚さんがお話したように、アプリとブラウザの違いをあまり気にされないんだなと感じました。ブラウザゲームなのに演出がリッチで、キャラがヌルヌル動く、BGMもボイスもちゃんと出るといった驚きがあったのは最初の1週間くらいで、その後はアプリと同じような感覚で遊んでいただけていますね。



――:体験会で触ったとき、アプリと遜色のない仕上がりになっていると驚きましたが、多くの人は意外と早く慣れてしまったんですね。

手塚氏:そうかもしれません。アプリと同じゲーム体験を提供することを目指していましたが、これからはそこからもう一歩踏み込んで、ブラウザゲームでしかできないことをもっと突き詰めていきたいですね。

内藤氏:コンシューマ向けのタイトルを見ていると、PS4やSwitch、Steamと広がってきました。ハードウェアやプラットフォームの違いを気にしなくなっていて、遊べる場所で遊びたいタイトルを遊ぶ、といった方が増えています。モバイルについても同じような状況なのかもしれませんね。

 



 

■プラットフォームは日々改善 ブラウザゲームならではのメリットも


――:リリースされた作品をどう評価されていますか。

手塚氏:開発に携わったスタッフは本当に真剣に開発に取り組んでいますし、お客様からの反応も非常に良いので手応えを感じています。我々として目指していたことがきちんと表現できていると感じています。

内藤氏:開発視点では、リリース以来、enzaタイトルと、これまで長い時間をかけて築いてきたGoogle PlayやApp Storeで提供するアプリのKPIをベンチマークとして比較して、仮説を立てて改善して結果を見る、という地道なプロセスを繰り返してきました。例えば、会員登録や課金までの流れなどです。アプリ並みに改善されたものもあれば、その差がまだ埋まらないものもありますが、全体的には短時間で急速に改善できています。

手塚氏:ゲームの遊ばれ方に関しては、アプリとブラウザは、想定したほど大きな差はなかったですね。

内藤氏:アプリでもブラウザでも初めてお金を払う時のハードルが最も高くて、2度目になるとそれが下がってかつ1度目に比べて多めに支払う傾向にあります。「enza」のサービス開始当初は、最初にお金を払うまでのハードルがアプリに比べても高い状況でした。徐々に改善を重ねてきて、2度目の支払いに関してはアプリに近い水準になってきました。



――:以前、会員登録と課金などに関して課題があるとおっしゃっていましたが、どういった改善をされたのでしょうか。

手塚氏:例えば、会員登録の手続きも相当簡単になりました。リリース当初は、何段階か踏まないと登録できないようになっていたのですが、いまではワンタップで登録できるようになっています。

内藤氏:そうですね。会員登録と課金関係については日々改善を繰り返しています。大きなアップデートで一気に変えたと言うよりは、本当に小さな改善を日々繰り返することを重視しました。一見しただけでは分かりづらいことを日々改善してきました。



――:あとはインストールしなくてもすぐに遊べるのは大きな利点ですが、そのあたりは実際にやられてみていかがですか。

内藤氏:インストールをしないですぐに遊べるのはお客様にとって便利なようですね。ホーム画面などにショートカットを置いた方は特に、アプリと全く同じ感覚で遊んでいただけているのではないかと思います。

手塚氏:あとは広告バナーからの起動率がアプリに比べてもすごく高いですね。ダウンロードがないことが大きな要因でしょうが、チュートリアル突破率もとても高いです。

内藤氏:アプリですと、ストアからアプリをダウンロードして、さらにアプリ起動後にリソースをダウンロードしてチュートリアルに…というものが多いですが、そのプロセスが大幅に短縮できていますので、チュートリアルを遊ぶハードルはかなり低いのかなと思います。

 



――:最近のアプリだと容量が非常に多いですよね。

内藤氏:最近のアプリは容量の大きいものが多いので、ゲームを遊ぼうと思ったときと実際にチュートリアルを始めるときのタイムラグがあります。例えば、外出先で面白そうなアプリを見つけたけど、Wi-Fi環境ではないため、帰宅してから…となって、結局遊ばないことがあります。こういったロスをなくせているのは大きいですね。アプリの容量についてはそれだけ豊かなゲーム体験を提供するという意味で決して悪いことではないのですが、気軽に始められるのはブラウザならではの良さといえます。


――:リリース前の発表会で手塚さんがおっしゃっていましたが、イベントや商品との連携をだいぶやられていますよね。

手塚氏:両タイトルでこれまで100を超える取り組みを行いました。「enza」の作品に触れていただけるポイントが色々なところにできたのは本当にありがたいことです。販売している商品に付加価値をつけることができますし、お客様や販売店の方からも面白いといっていただけています。こうしたことはかつてブラウザで行われていましたが、アプリから始めた方にとっては新しい経験と受け取っていただけているのかもしれません。

内藤氏:この点は、「enza」というより、バンダイナムコさんの強みといったほうが良いかもしれないですね(笑)

 



 

■リリースタイトルは良好な状況


――:続いてゲームについてですが、『ブッチギリマッチ』に関してはかなり挑戦している仕様だなと思いましたが。

内藤氏:最初のタイトルですので、本当はもっとライトな形で始めたほうが負担は少なかったのですが、逆に最初だからとチャンレンジしました(笑) リッチな演出だけでなく、リアルタイム対戦など、かなり挑戦していて、開発側も四苦八苦しましたが、良いものができたと思います。

手塚氏:『ドラゴンボールZ ドッカンバトル』、『ドラゴンボール レジェンズ』、『ブッチギリマッチ』を担当しているのですが、それぞれ違う個性をもたせたいと思っていますし、お客様の考える『ドラゴンボール』の面白さを違った観点から切り取った作品となっています。

『ブッチギリマッチ』も新しいプラットフォームならではの作品にしたいと思っていました。目の前の相手とゲームができて、シンプルなルールでかつ駆け引きが楽しいゲームにしたいと考えていました。実際、相手と向かい合って戦うと本当に盛り上がるんです。

内藤氏:技術的なチャレンジがすごく多かったですね。手塚さんから「こういうのできますか?」と聞かれて、「いや、ちょっとやってみないと…」ということがとても多かったです(笑) そのかわり、グローバルでも例を見ないチャレンジになったかと思っています。

手塚氏:世界中のいろいろな会社から興味を持っていただいています。あそこまでの表現とゲーム性をもったHTML5のゲームはなかなかないので、注目を集めているようです。

内藤氏:この1年、世界的にコミュニケーションアプリ上で、HTML5のゲームを提供するケースが増えましたが、いずれもカジュアルゲームが多く、ここまでリッチなゲームというのは非常に少ないです。海外の方から見ると不思議で、「どうやって作っているの?」と思われているのかもしれません。

 



――:『シャニマス』の方はいかがですか。ゲームとしてもイベントとしてもたいへん盛り上がっていて、アイドルマスターシリーズの仲間として認められたかな、とも感じているのですが。

手塚氏:そうですね。運営も順調です。これまでのシリーズと異なる、新しいアイドルを出していくわけで、リリース前には不安もあったのですが、プロデューサーの皆さんに本当に暖かく迎え入れていただいて、本当にありがたいです。ソーシャルメディアでの盛り上がりもそうですが、イベントなどを行った際の熱量も非常に高くて心強いです。今度はファーストライブもやりますので、これから楽しみです。
 



――:enzaディベロッパー説明会や個別での打ち合わせを行うなど、ディベロッパーの開拓も相当力を入れられましたよね。

手塚氏:はい。いろいろな会社さんとお話をさせていただいています。一緒にやる会社さんには、これまで自分たちの運営や改修などで得た経験やデータ、ノウハウを共有して、それを開発に活用していただいています。ただ、相手方のあることなので、各社とこうなっていますとはここではなかなかお話しづらいですが。


――:説明会には多くの会社がいらっしゃいましたね。

手塚氏:出席されたのは130名くらいで、当日欠席がほとんどないなど、出席率が非常に高かったです。海外の会社からも注目を集めているのを感じていますので、HTML5のプラットフォームを盛り上げて、技術者が安心してスキルを身につけられるようにしたいです。スキルを身に着けたのに使えなければ仕方がありません。HTML5が市場として立ち上がるようにするため、日々取り組んでいます。


――:バンナムさんのIPは世界的にも人気がありますから自分の国でやりたいと考える会社も多いのではないかと思いますが、海外の会社からの問い合せも多いんですか。

手塚氏:そういうお話もいただいています。また、各国でHTML5が注目されていて、プラットフォームも立ち上がっています。それに伴い、ディバロッパーさんも増えている状況にあります。


 

■enzaをやっていてよかったことと反省点


――:これまでやってよかったことはありますか。

内藤氏:開発視点でいうと、色々な技術的なチャレンジができたことですね。グローバルで見てもかなり先進的と言えるかと思います。純粋に開発力と技術力が上がったと思っています。これからサードパーティの会社さんに技術的な可能性や開発にあたっての注意点、ノウハウなどをお伝えできるのではないかと思っています。

手塚氏:知らない開発用語をいっぱい覚えました(笑) 冗談はともかく、BXDは会社の規模の割に分析チームが大規模なのですが、新しい知見やデータを得ることができました。これまでアプリの中でしかデータ分析をやってこなかったのですが、プラットフォームとしての分析や、商品との連携に関する分析など、新しいデータが取れて分析できるようなったことが大きいですね。IPの好きな方がどういうことに興味があるのか、どうしたら喜んでいただけるのかなどがわかってきました。ビッグデータの分析がしっかりできるようになりました。

内藤氏:もともと中期ビジョンの中でもプラットフォームとして集まったビッグデータを活用することを設立当初から考えてはいたのですが、その頃はまだぼんやりとしたものでした。この1年のなかで、プラットフォームと外部連携などできることはもちろん、集められるデータも徐々に見えてきましたので、来期以降はエンターテインメント領域でたまるビッグデータをどう活用するのかを考えられるようになってくると思います。

手塚氏:得られたデータについてはプライバシーに最大限配慮しておりますし、きちんと管理しております。これからユーザーの皆さんに喜んでいただけるような商品開発に活用できればと考えています。



――:振り返っての反省は。

内藤氏:設計の段階で色々と考えすぎていたなと思います。当たり前ですが、やってみてわかることが多かったです。考えすぎずに、途中で色々な手を打つことを前提にした設計にすればよかったなと考えています。やってから改修することが多いんです。仮説を立てて作っていたんですが、実際に作ってみて改修したほうが早かったなと思いました。

現在は仕様をきちんと固めて作るというより、アイディアなどをパッと試して改善を繰り返す方法を重視していますが、当初は「いったんこれが完成形だよね」といえる仕様を考えていました。小さく実験しながらやっていく方法でも良かったなと思います。これは本当に振り返っての反省でしかないんですけど(笑) 作る時は当然、より良い仕様にしようとするわけですから。

手塚氏:もっと色々なタイトルを出せれば良かったんですけど、ちゃんと作ることを優先にしていましたので、なかなか思うようにいきませんでした。そこは焦っても仕方がありません。一定のクオリティに達していて、新しい体験ができることが担保されないといけません。そのあたりのスピード感を上げたいです。

内藤氏:先程、お客様の多くは、アプリとブラウザを気にしなくなっているとお話しましたが、ブラウザだからカジュアルなゲームになるのは仕方がないという感覚がなくなっています。10年前だったらともかく、いまはアプリと比較されるようになっています。はじめからチャレンジしたこともありますが、クオリティをアプリ並みにすることがマストになってきました。

ただ、そこは自分たちでハードルを上げてしまった結果かもしれません(笑) 『シャニマス』や『ブッチギリマッチ』でこれくらいのものができるということがわかってしまったので、お客様の期待値が上がっていると思います。今後も演出やグラフィック、レスポンスなどアプリ並に仕上げないといけません。技術的に発展しているとはいえ、やってみないとわからないことが多く、ハードルを上げた分、大変になったなと思っています(笑)

 



――:ネイティブだと海外の資料やツールが豊富ですが、HTML5だと資料も少ないんじゃないですか。

内藤氏:はい。アプリですと、wikiやツールなど資料が豊富にあり、開発する際の参考になるものが多いのですが、そういうものがなかったので、自分たちで試行錯誤して作ってきました。その意味でなかなかしんどい状況ではありました。「ブラウザだからこの程度でいい」という考えも最初からなかったですね。


 

■2019年の取り組み


――:続いて2019年の展望についてお話をいただければと思います。リリース予定の新作として、『プロ野球 ファミスタ マスターオーナーズ』『金色のガッシュベル!! Golden Memories』『クイーンズブレイド WHITE TRIANGLE』が発表されています。発表会でも10本台とお話をされていましたが、特に変わりはありませんか。

手塚氏:はい。新作については、これまで2ケタ本数を進行しているとお話しましたが、その点は変わりません。ただ、サードパーティと取り組んでいるタイトルもあるため、申し訳ないのですが、どの時期に何を出すとはお伝えしづらいです。


――:先行してリリースした2タイトルもハイレベルなので、スケジュール優先にするわけにはいかないですよね。

手塚氏:そうなんです(笑) ですが、現在開発している新作の仕上がりは間違いなく良いものになっていて、遊んでいただくと驚かれると思います。リリース時期についてはまだ具体的にはお話しできないのですが、いまのところ順調に進行していますので、ご期待いただけばと思います。


――:リリース頻度は決めてらっしゃるのですか。

手塚氏:毎月1本は出しましょう、などというルールは設けていません。IPのタイトルが多いので、そのIPが一番盛り上がるタイミングを見極めてリリースしていきたいと考えています。


――:海外展開についてはまだ準備中といったところでしょうか。

手塚氏:もちろんやります。準備の方は着々と進めています。各国の法律や規制をクリアしなくてはいけませんので、調査や対応を行っているところです。現在進行形でルールが変わっている部分もありますので、少しずつ広げているところです。

内藤氏:米国などでは州単位で変わってきますし、EUについては個人情報の取扱でルールが非常に厳しいです。この辺りの調査・対応が必要です。




――:2019年にやりたいことと豊富を大いに語っていただきたいのですが。

手塚氏:マルチタッチポイント戦略を推し進めようと考えています。発表会でもお話しましたが、色々なところで、我々の提供するコンテンツやタイトルに触れられるようにしたいと考えています。販売している商品だけでなく、映像、コミック、PC、テレビなどで触れられるようにして、日常生活の中でも『シャニマス』や『ブッチギリマッチ』を感じられるようにしたいと思っています。

内藤氏:繰り返しますが、新しいプラットフォームとして意識して開発してきましたが、お客様はこちらが考えているほど意識されていませんでした。モバイルのブラウザだけで遊ぶことを意識していましたが、だったら色々なところで遊べるようにすべきだと思っています。テレビやPCなどブラウザが入っていれば、どこでも遊べるようにしたいです。データは同じですので、どこでも続きが遊べるようにする、ということです。



――:技術的にこういうことに挑戦したいというお考えはありますか。

内藤氏:難しいことはだいたいやってきました。今後は3Dをストレスなく容量的に動かすことも試したいですね。5Gがはじまったとき、いまのままでストレスがなくなるだけなのか、5Gを前提としたらどんなことができるのか研究はしたいですね。例えば、遠隔で離れた時に遅延が出ないとしたら、より同期性の高いゲームが出せるかもしれないですし、画質や演出もよりリッチなものにできるはずです。どちらにしろ再来年に向けた調査フェーズになるかなと思っています。

また、端末については、これからも進化した端末が出てくるでしょうが、最新端末は決してマジョリティではありません。開発にあたっては年数の経過した端末にどこまで対応していくかを検討していくことになるでしょうか。

 



――:回線速度が早くなると、都度、リソースをダウンロードするHTML5のゲームには追い風になりますよね。

手塚氏:そうですね。これからビジネスでの活用の方が先に進んでいますが、データはクラウドやネットワーク側が持っておき、アクセスする端末はどこからでもいいという流れになっています。5Gになったとき、その流れが進み、ネットワーク側で処理する流れが強まるはずです。それを見極めてゲームに活かしていきたいです。



――:他にやってみたい取り組みはありますか。

内藤氏:モバイルのゲーム市場が一旦踊り場に来ている中、enzaがディベロッパーからみたとき、チャンスのある場所にしたいです。ゲームを配信する場としてだけでなく、例えば、プロトタイプやアルファ版を配信してお客様からご意見・ご感想をいただく場にしてもいいかなと思うんです。いまアプリもCBTやOBTが行われていますが、これでもかなり開発が進まないとできません。フィードバックを受けて直すといっても、改修は簡単なことではありません。もう少し早い段階から試すことができれば、ディベロッパーさんにも魅力的に映るはずです。

どういうものを提供すれば興味を持っていただけるのか。売上が出るだけでなく、実験の場を提供したらどんなことができるのか、データを活用したらどんなことができるのかなど、解を見つけていきたいですね。

事前登録をやるとすごく集まるなど、いろいろな会社との連携をもう少し増やしたいです。今年は自分たちのことで手一杯でしたが、来期はそういったこともできるようにしたいですね。せっかくディベロッパー説明会の時のようにいろいろな会社の方に興味を持っていただいたわけですから。



 

■ゲームはプラットフォームからタイトル本位に


――:HTML5のプラットフォームが色々と出てきましたが、これからも注目度は上がるとお考えでしょうか。

手塚氏:HTML5への注目度が上がっているのは確かですが、我々はもちろん、お客様も感じておられるのですが、これから「アプリのプラットフォームだから、HTML5のプラットフォームだから」という考えで判断しなくなってくる傾向が強まっていくと思います。単純にやりたいゲームがあるからここで遊ぶと考える方が増えるのではないかと思います。家庭用ゲームやPC、モバイルの区分けがなくなってくると感じています。他のプラットフォームとの競合関係は感じていません。

内藤氏:GREEやMobageが立ち上がった時、プラットフォームが前面に出る形になっていました。GREEに遊びに行く、Mobageに遊びに行くと言った感じです。家庭用ゲームでも同様で、ハードが前に出る傾向にありました。現在は、タイトルが前に出てきて、このタイトルを遊ぶためにこのプラットフォームに行く、という感じが強まっていくでしょう。海外の動向を見ていても、そういうトーンが強いです。お客様からすれば、アプリを立ち上げるのか、ブラウザを立ち上げるのか、という程度の違いに過ぎません。僕らが考えていたほど、プラットフォームへのユーザーさんの意識はそれほど強くないように思います。

 



――:プラットフォーム云々については、ゲームを作る方と、我々メディアが特別視しすぎていた部分が大きいのかもしれませんね。

手塚氏:そうですね。プラットフォームは前面には出していませんが、実際に登録して遊んでいると、プラットフォームでつながっていて、1回の会員登録だけで、複数のゲームが遊べて、お互いのコンテンツで特典があるといった状況です。

内藤氏:意識せずに使っていると同じプラットフォームだった、という感じです。



――:enza発表会の時もバンナムさんのゲームを遊んでいて気がついたらenzaという同じプラットフォームのゲームだったと気づくという状況を想定されているというお話をされていましたが、おおむねその狙いというか、仮説通りだったんですね。

内藤氏:予想よりさらにそうなっている、という感じですね。


――:最後にメッセージをお願い致します。

手塚氏:enzaというプラットフォームとHTML5を活用したゲームについて可能性を感じた1年でした。同時にまだまだやれることがいっぱいあると感じていて、それは自分たちだけでなく、みんなで切磋琢磨して情報交換して作り上げていったほうが業界の未来につながってくると思います。ぜひご一緒できたらと思っています。

内藤氏:enzaという場所は、ゲームを提供するプラットフォームの一つという見え方以上になっていませんが、もっとざっくばらんな感じでこんなことを色々とやりたいですね。デジタルはもちろん、リアルとも色々な連携を取って行きたいので、ざっくばらんな持ち込みやご提案をいただけると嬉しいです。広い意味でのプラットフォームとして展開していきたいです。


――:ありがとうございました。