【年始企画】「ゲームそのものだけに限らず、さまざまなエンターテイメントを高いクオリティで」…Cygames木村常務取締役に訊く2018年の振り返りと今年の展望



2018年におけるスマートフォンアプリ業界の総決算として、前年から2019年に至るまでの市場動向を総まとめする年始恒例企画。

今回は、『プリンセスコネクト!Re:Dive』や任天堂<7974>との協業タイトル『ドラガリアロスト』といったスマホ向け新作タイトルのリリースに加え、KONAMIとの共同開発となるコンシューマータイトル『ANUBIS ZONE OF THE ENDERS : M∀RS』の発売、さらに「ウマ娘 プリティーダービー」を始めとするオリジナルアニメ作品の放送など、2018年も様々な展開を見せたCygamesにインタビューを実施。

Cygames常務取締役の木村唯人氏にインタビューを行い、2018年のゲームアプリ市場とCygamesの展開を振り返ってもらうとともに、2019年の展望を聞いた。


――:業界全体を振り返って2018年のスマートフォンゲーム市場はどのような年でしたか?

いろいろなことがありましたが、海外のパブリッシャーが日本の市場に参入し、ユーザーにも受け入れられて結果を残していた印象でした。それに比べて日本のパブリッシャーは、去年と同じようにはヒット作が出せておらず、日本のゲーム会社にとっては厳しい年だったように思います。

――:Cygamesにとって、2018年はどのような年になりましたか? 注力されたことや主な取り組みなどについて振り返ってください。

2018年は様々なことに全方位的に取り組んだ一年でした。スマホの新タイトルとしては『プリンセスコネクト!Re:Dive』や任天堂さんとの協業タイトル『ドラガリアロスト』のリリースを行いました。

また、コンシューマータイトルとしてはKONAMIさんとの共同開発タイトルである『ANUBIS ZONE OF THE ENDERS : M∀RS』を発売しましたし、PS4向けタイトルとして『Project Awakening』や『GRANBLUE FANTASY Relink』、『GRANBLUE FANTASY Versus』などの情報を発表することができました。どれもユーザーの皆さまからご好評でしたので、嬉しく思っております。

ゲーム以外ではオリジナル作品として『アニメ「ウマ娘 プリティーダービー」』と『ゾンビランドサガ』を放送し、どちらも大きな反響をいただけました。2019年1月には『マナリアフレンズ』の放送も控えており、こちらにも期待しています。

今までお伝えしたコンテンツは日本以外の地域でも受け入れていただいており、海外展開も順調に進んでいると思っています。世界的なesports大会であるEVOにオフィシャルスポンサーとして協賛をしたり、台湾支社の設立を行ったり、年末にはShadowverseの世界大会である「Shadowverse World Grand Prix 2018」を実施したりと海外のお客様展開に向けた展開も盛りだくさんでした。


――:今年にリリースされた『ドラガリアロスト』に対する手応えはいかがでしたか?

初の任天堂さんとの協業タイトルということで、どのように受け入れていただけるか注視しておりましたが、台湾・香港・マカオではセールスランキングで首位を取れましたし、国内外ともに順調な滑り出しとなっており、一安心という状況です。ユーザーの皆さまからも多くのご意見をいただいておりますので、より良い体験をお届けできるように努めてまいります。

――:『グランブルーファンタジー』や『Shadowverse』など、既存の人気タイトルについて2018年はいかがでしたか?

『Shadowverse』ではいろんな取り組みを行いましたが、ゲーム外に関しては、プロリーグの発足と優勝賞金100万USドルの世界大会開催が大きなトピックでした。

esports展開の盛り上がりを通して、ゲーム業界の発展に寄与できればと思っておりましたが、プロリーグでは多くの企業がチームのスポンサーとして名乗りを上げてくれましたし、世界大会も国内外から注目していただき、数々の熱いドラマが生まれた大会となり、プロゲーマーやスター選手という存在に注目を集めることができたように思います。

ゲーム内では、昨年末に「ローテーション」という新フォーマットや、新リーダーである「ネメシス」の追加を行いましたが、ユーザーの皆さまには「アンリミテッド」「ローテーション」のフォーマットをどちらも楽しんでいただいていますし、「ネメシス」に関しても、よりプレイングの幅を広げ、多様な楽しみ方をお届けできているかと思います。あとは、『グラブル』とのコラボに関してもお喜びいただけたのが印象深かったです。

『グラブル』については、『名探偵コナン』、『ふたりはプリキュア』、『Shadowverse』、『ラブライブ!サンシャイン!!』、『ANUBIS ZONE OF THE ENDERS : M∀RS』、『プリンセスコネクト!Re:Dive』などなど、様々なタイトルとのコラボがユーザーの皆さまからはご好評いただけました。

リアルイベントにも力を入れて夏には「グラブルサマーフェス」、年末には「グラブルフェス2018」を開催いたしましたが、「グラブルフェス2018」は昨年よりもさらにパワーアップしたものをお届けできたと感じています。「グラブルフェス2018」では『GRANBLUE FANTASY Relink』と『GRANBLUE FANTASY Versus』の2つのコンシューマータイトルを発表でき、よりグラブルの世界を広げていける礎になった一年でした。


――:配信を控える新作のお話も含め、2019年、Cygamesの展望について教えてください。

2018年に引き続き、アニメ、スマホゲーム、コンシューマーなど、様々な事業の枠を超えて多方面でユーザーの皆さまにコンテンツをお届けしてまいります。また、日本だけでなく世界での展開、esports領域での展開なども行ってまいりますので、より多くの方々に弊社を知っていただき、コンテンツに触れていただけると嬉しく思います。

新作に関しては、年末のグラブルフェス2018にて発表したGRANBLUE FANTASY Versusが2019年発売予定となっておりますので、ぜひそちらにご期待いただければと思います。


――:2019年のスマートフォンゲーム市場はどうなっていくと予想していますか?

2018年の傾向と大きくは変わらないと思いますが、現状でも簡単にヒット作が出ない状況が生まれている中、海外からのライバルも増え、より難しい状況になっていくと考えています。

近年はスマホゲームに興味があっても、まだやっていないような方はほぼいない状況になっているかと思いますが、そうした状況において、ユーザーの方々に「遊びたいゲーム」として選んでいただくハードルがどんどん上がっていることを感じています。海外の会社さんが出されるゲームには、新しい遊びを提供するものも増えてきていて、そういったものと比較されることも増えていくかと思います。


――:2020年に通信システムが4Gから5Gへ変わる大きな転機を迎えますが、スマホゲーム業界にとって5Gになることでどうなると思われますか?

ユーザー間で大量の通信を高速で行えるようになることを受けて、リアルタイム通信をいかしたゲームが出てくるだろうと思います。また、それによって新たな遊び、新たなタイプのゲームが出てくるかなと予想しています。ボイスチャットなどの機能を実装したゲームも増えてきそうな気がしますね。

――:それでは最後に2019年の抱負をお聞かせください。

ゲームはもはや、ゲームそのものだけでなく、配信やコミュニティー内でのコミュニケーションなどの様々な要素と絡み合いながら、複合的なエンターテイメントになっているように感じます。2019年はゲームそのものだけに限らず、さまざまなエンターテイメントを高いクオリティで提供していきたいです。

 

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