【決算まとめ】ゲーム関連企業32社の7-9月…グリーとガンホーの売上高が逆転 新作寄与のKLabが躍進 モバイルゲーム大手の営業益は約5年前と同水準に減少

7~9月の決算発表シーズンも終了し、主要モバイルゲーム企業の2017年7~9月期(一部5~7月期と6~8月期)決算が出そろった。今回も恒例ではあるが、ゲーム関連企業32社分の決算の状況をチェックしてみたい。

今回は特に銘柄の増減、入れ替えもなく、前四半期と同様の32社分を取り上げていく。また、これまでと同様に決算期の都合で、gumi<3903>とエイチーム<3662>の数字は5~7月期と2ヶ月前の数字となっているほか、gloopsなどを含むネクソン<3659>のモバイル事業の売上高も掲載し、サイバーエージェント<4751>(表中はCA)は、ゲーム事業の数字のみを取り上げている。
 

今回の決算では、32社中、増収が21社、減収が11社となり、前四半期(増収13社、減収19社)と比べて増収企業が大幅に増加した。これは大手ゲーム企業が夏休み商戦で前四半期と比べると売り上げを伸ばしやすい傾向にあることに加え、アカツキ<3932>やアエリア<3758>などが好調を持続していることが大きいと思われる。

また、ドリコム<3793>やKLab<3656>、オルトプラス<3672>などが新作のリリースにより売り上げを積み上げてきていることも影響しているだろう。

一方、利益面では赤字計上企業が前四半期と同じ9社となるなど、まだ改善が進んでいない状況となっている。開発費用の高騰で先行投資負担が大きくなり、それを回収するまでの時間が長期化している傾向が見て取れると言えるのではないだろうか。

ちなみに、32社を売上高と営業利益の増減別に分けると、以下のようになる(並びはコード順)。

増収増益…ディー・エヌ・エー(DeNA)<2432>、アクセルマーク<3624>、グリー<3632>、コーエーテクモHD<3635>、KLab<3656>、コロプラ<3668>、オルトプラス<3672>、イグニス<3689>、ドリコム<3793>、アカツキ<3932>、エディア<3935>、バンダイナムコHD<7832>、マーベラス<7844>、スクエニHD<9684>、カプコン<9697>、コナミHD<9766>
増収減益…モブキャスト<3664>、アエリア<3758>、カヤック<3904>、LINE<3938>、サイバーエージェント<4751>
減収増益…ケイブ<3760>
減収減益…ミクシィ<2121>、ボルテージ<3639>、エイチーム<3662>、enish<3667>、ガンホー<3765>、gumi<3903>、シリコンスタジオ<3907>、Aiming<3911>、モバイルファクトリー<3912>、セガサミーHD<6460>
 

■ガンホーとグリーの売上高が逆転 新作2タイトル寄与でKLabが躍進


まずは四半期売上高100億円以上を抽出して並べたグラフから見てみたい。大きなポイントと言えそうなのはガンホーとグリーの売上高が逆転したことで、ネイティブゲームシフトが進み、なおかつ複数のヒットタイトルも生み出したグリーの業績の好転が目立っている。ただし、ここからさらに積み上げていけるかどうかはじっくりと見極める必要がありそうだ。
 

次に四半期売上高100億円未満の企業は、KLabが新作『キャプテン翼 ~たたかえドリームチーム~』と『うたの☆プリンスさまっ♪Shining Live』の寄与により、gumiを上回る規模まで売り上げを伸ばしたことがまずは注目される。また、売上高30億円台のドリコムと20億円未満の企業の差がやや広がっており、企業間格差がやや広がりつつあるのではないかと思われる。
 


■『ドッカンバトル』や「アイマス」軸にバンナムの好調続く 赤字企業数は9社に


続いて四半期営業利益20億円以上の企業をまとめたグラフに目を移すと、ミクシィやLINEがやや利益を落とした印象だ。躍進が目立つのはバンダイナムコエンターテインメントで、『ドラゴンボールZ ドッカンバトル』や「アイドルマスター」シリーズなどスマホゲームの貢献度が一段と増している格好だ。
 

四半期の営業利益20億円未満の企業を見てみたい。こちらはgumiが先行投資により利益を落としていること、そしてAimingの先行投資による赤字額がさらに拡大していることが目立っている。売上高については好転した企業も多いが、収益性の観点からはまだ大底を脱し切れていない企業が今後どのタイミングで改善してくるかが今後の大きなポイントの1つとなってこよう。
 

なお、前述の通り赤字計上企業は3四半期連続で9社となった。前四半期の黒字から赤字に転落したのはボルテージで、逆にケイブは黒字を回復した。そのほか7社は連続しての赤字計上となり、引き続き収益性改善への取り組みが期待されるところだ。
 


■モバイルゲーム大手の営業益は約5年前と同水準まで減少


次は、モバイルゲーム大手の売上高推移と営業利益推移をまとめたグラフを見てみよう。この四半期は2四半期ぶりの増収となったものの、営業利益は2四半期連続の減益となり、約5年前と同水準にまで減少した。ガンホーやミクシィの減収分をそのほかの増収がカバーした格好だが、利益については両社の減益分をカバーするような企業がなかったことが大きい言えるだろう。
 


続いて上場SAPの売上高推移と営業利益推移を見てみると、こちらは売上高が大きく躍進したものの、営業利益はやや前四半期と比べて減少した。ただ、その営業利益も前年同期と比較すると倍以上になっている。比較的売り上げ規模の大きい企業の売り上げが拡大している傾向にあり、前四半期に続いて企業格差が広がった可能性が高そうだ。
 

 

■ストアランキング同様に企業の業績面でも勢力図に変化の兆し


ここまで市場全体の状況を見てきたが、モバイルゲーム大手のけん引役だったガンホーとミクシィは主力タイトルの成熟期入りがより鮮明となり、ゲーム内でユーザーに新たな楽しみ方をいかに提供できるかと、新たな柱となるようなタイトルをいかに生み出すのかが大きな課題となっている。

その一方で、スマホネイティブゲームへのシフトがおおむね完了したサイバーエージェント、DeNA、グリーの存在感が増し、ヒットタイトルをオリジナルだけでなく、協業IPタイトルでも担うケースが増えた上場SAPも躍進し、アプリストアランキング同様に企業の業績面でも勢力図が変わりつつあると言えそうだ。

続いて、各社の個別の状況を見てみたい。なお、大手ゲーム各社については、下記の記事を参照していただきたい。

▼大手ゲーム各社まとめ(参照)
【決算まとめ】ゲームソフト大手、中間は6社中5社が営業増益 家庭用ゲームでの拡大目立つ スマホゲームはIPと海外展開がカギ、ライセンス供与も
 

■増収増益組


・​DeNA<2432>
第2四半期(7~9月)は、横浜DeNAベイスターズが日本シリーズい進出するなど好調だったこともあり、スポーツ事業が大きく寄与した。ゲーム事業については、『逆転オセロニア』が月商10億円超えとなったものの、一方で広告宣伝費が増加しており、セグメント利益は前四半期比で17%の減益となっている。なお、先日、任天堂<7974>との協業タイトル『どうぶつの森ポケットキャンプ』が配信開始となっており、これが第3四半期は1ヶ月超の寄与となってくることは次の四半期の注目ポイントになってこよう。

・アクセルマーク<3624>
第4四半期(7~9月)は、新作『ディアホライゾン』(配信はスクウェア・エニックス)が寄与し、増収・赤字幅縮小という結果になった。なお、赤字計上の要因は、開発中の新作『終幕彼女(エンドロール)』や、KLab<3656>との協業タイトル『幽☆遊☆白書100%本気(マジ)バトル』などの開発費用が先行しているためで、次の四半期も投資の局面が続くことになりそうだ。

・グリー<3632>
『アナザーエデン』や『シノアリス』など前四半期にリリースしたタイトル群が本格寄与し、第1四半期(7~9月)は前四半期比23%増と大幅な増収を達成した。その一方、広告宣伝費が5億円強の増加となったことや、ネイティブアプリの比率上昇に伴う支払い手数料の増加などにより、利益の伸びは営業利益で2%増と微増にとどまっている。なお、今期の残りリリースタイトルは下期に集中しており、第2四半期は既存タイトルによる延長線上の業績数値が予想される。

・KLab<3656>
第3四半期(7~9月)の売上高は前四半期比28%増、営業利益は同19%増と2ケタ増収増益を達成した。新作『キャプテン翼』がこの四半期はフル寄与したことに加え、『うたプリ』も約1ヶ月分上乗せとなったことが大きく寄与している。また、『BLEACH Brave Souls』の海外版が好調で3Qは海外売上高も過去最高となっている。なお、通期予想は11月6日に従来予想のレンジ上限を上回る予想に修正されており、第4四半期も『うたプリ』のフル寄与などによる好業績が期待されるところ。

・コロプラ<3668>
第4四半期(7~9月)は売上高が前四半期比28%増、営業利益は同24%増と大幅な増収増益での着地となった。3周年イベントを実施した『白猫プロジェクト』が前四半期比で大きく回復したことがその要因となっている。なお、2018年9月期はIP活用によるロイヤリティの増加と、新規スマホアプリ開発の活性化による人件費の増加で大幅減益となる見通し。

・オルトプラス<3672>
第4四半期(7~9月)の売上高は前四半期比28%増の10億1600万円と初の10億円大台乗せを達成した。第3四半期にリリースしたKADOKAWAとの協業タイトル『結城友奈は勇者である 花結いのきらめき』が寄与したことがその最大の要因。一方で利益は、新作タイトルの開発費用などが先行する状態が続いており、赤字幅は縮小したものの、赤字計上が続いている。なお、バンダイナムコエンターテインメントの配信タイトル『黒子のバスケ CROSS COLORS』の運営移管を行ったことも明らかにしている。

・イグニス<3689>
第4四半期(7~9月)は売上高は前四半期比14%増となり、赤字幅は縮小した。ネイティブゲームの経年減少分を婚活サービス「with」などコミュニティの増加分で補った。なお、利益は2018年9月期にさらなる成長を遂げることを目指し、事業投資の年として強めに先行投資を行っている。なお、2018年9月期通期は、『ぼくとドラゴン』などネイティブゲームはほぼ横ばいとなる見通し。

・ドリコム<3793>
第2四半期(7~9月)の業績をみると、前四半期比で売上高が41%増、営業利益が280%増と増収・増益となった。『みんゴル』などが貢献し過去最高の売上を更新したほか、広告宣伝費の抑制などにより大幅な増益を実現している。なお、第3四半期(10~12月)は増収を確保する見通しながら、新作リリースとそれに伴う費用が先行して発生するため、営業利益はトントンとなる見通し。

・アカツキ<3932>
第3四半期(7~9月)の売上高は前四半期比29%増、営業利益は同29%増と2ケタ超の増収増益を達成した。『ドッカンバトル』の好調持続に加え、6月リリースの『ハチナイ』がこの四半期はフル寄与したほか、8月リリースの『エムステ』も約1ヵ月分が収益に貢献した。なお、『ドッカンバトル』は、この第2四半期も海外において想定を大きく上回る売上高を記録し、単月・四半期ともに過去最高の売上高を更新した。

・エディア<3935>
第2四半期(7~9月)の売上高は前四半期比2%増と増収を確保し、利益率の高い受託案件比率が増加したことで赤字幅が縮小した。なお、今期は新作3タイトルをリリースする下期に偏重する予算編成となっており、次の第3四半期が大きなチェックポイントとなりそうだ。

・マーベラス<7844>
第2四半期(7~9月)の売上高は前四半期比28%増、営業利益は同49%増と大幅な増収増益での着地となった。ただし、これをオンライン事業のみで見てみると、売上高は同3%減、セグメント利益は同59%減と苦戦が続く格好になっている。「刀剣乱舞」や「あんさんぶるスターズ!」など大人気シリーズが引き続き好調な音楽映像事業が業績のけん引役となっており、オンライン事業については『ログレス』の落ち込みをカバーするようなタイトルの創出が待たれるところか。
 

■増収減益組


・モブキャスト<3664>
第3四半期(7~9月)の売上高は前四半期比40%増と大幅増収を達成した。今年5月に配信開始した『モバプロ2 レジェンド』および『モバサカ CHAMPIONS MANAGER』中国版の配信による売上が3ヶ月分計上されたことが寄与している。ただし、新作開発費用が先行しているほか、『モバプロ2 レジェンド』のテレビCMの実施など広告宣伝費の増加により赤字幅が拡大している。なお、費用の先行投資は第4四半期も続く可能性が高そうだ。

・アエリア<3758>
第3四半期(7~9月)は、売上高が前四半期比20%増と増収を確保したものの、営業利益は同13%減となった。子会社リベル・エンタテインメントの『A3!』の好調が続いており、引き続き業績をけん引した。一方で、大規模なプロモーションによる費用増などが利益率の低下につながった。次の四半期以降の伸びという視点から見ると、『A3!』に続くヒットタイトルの登場が待たれるところか。

・カヤック<3904>
第3四半期(7~9月)の売上高は前四半期比26%増と大幅な増収となった一方で、営業利益は同35%減と大幅減益となった。なお、11月15日より、2018年配信予定の新作共闘バトルRPG『東京プリズン』の事前登録を開始したほか、今期は『機動戦士ガンダム 即応戦線』(バンダイナムコエンターテインメントが配信担当)のリリースを予定しており、これらの新作の寄与でソーシャルゲームサービスの状況が第4四半期以降大きく変化していくことになりそうだ。

・LINE<3938>
第3四半期(7~9月)の売上収益は前四半期比6%増の425億円と増収を達成した一方、営業利益は同59%減の58億円となった。ただ、減益の要因は第2四半期に事業譲渡益104億円をその他の営業収益として計上した反動によるもので、あくまで特殊要因によるものと言える。LINE広告の成長により、第4四半期も順調な業績推移が継続することになりそうだ。

・サイバーエージェント<4751>
第4四半期(7~9月)は、全体業績では売上高が前四半期比137%増の1018億円と四半期ベースで過去最高を更新し、営業利益も同49%増の98億円となった。ただし、ゲーム事業については、売上高は同8%増の363億円と過去最高を更新したものの、営業利益は同24%減の52億円にとどまった。これは『グラブル』や『Shadowverse』『ガルパ』などの広告宣伝を強化したため。続く2018年9月期は10本の新作リリースを予定しており、事業規模のさらなる拡大が期待されるところ。


■減収増益組


・ケイブ<3760>
第1四半期(6~8月)は、前四半期比で20%の減収となったものの、営業利益、経常利益、最終利益とも黒字転換した。、アニメやアーティストなどの版権と協力したコラボを展開する一方で、プロモーションコストを抑えることに成功し、費用抑制につながった。なお、完全新作となる戦春ドラマティックバトルゲーム『三極ジャスティス』の公式サイトを11月17日に公開しており、これが下期にリリースされることになりそうだ。
 

■減収減益組


・ミクシィ<2121>
第2四半期(7~9月)の業績は、売上高450億円(前四半期比6%減)、営業利益166億円(同17%減)と減収減益が続いた。主力の『モンスト』は、前年度の第4四半期に過去最高のアクティブユーザーを獲得したが、そこからピークアウトした状況が続いている。なお、費用については、エンターテインメント事業への大規模投資を展開している影響も出ているようだ。

・ボルテージ<3639>
第1四半期(7~9月)は、売上高は前四半期比4%減となり、2四半期連続の売上高20億円割れとなった。また、営業赤字は5億2300万円と大きく膨らんでいる。「恋愛ドラマアプリ」など国内女性向けが大幅に減少しており、そのほかでカバーすることができていない状況だ。大幅なテコ入れでここから立て直しが図れるのかどうか、注目されるところだ。

・エイチーム<3662>
第4四半期(5~7月)の売上高は前四半期比5%減、営業利益は同25%減となった。ライフ事業とEC事業が繁忙期の第3四半期からの反動で減収減益となったことに加え、エンタメ事業も『ユニゾンリーグ』が第3四半期にIPコラボを実施し、売り上げを大きく伸ばした反動減となった。なお、2018年7月期通期の連結業績予想は、売上高が前期比15%増、営業利益は同15%増と2ケタ増収増益の見通しだが、第1四半期はエンタメ事業の新作は特にリリース予定がないもようだ。

・enish<3667>
第3四半期(7~9月)は、売上高は前四半期比44%減の8億5500万円となり、営業損益は3億円の赤字と赤字幅が拡大した。ただし、10月18日に「欅坂46」初となる公式ゲームアプリ『欅のキセキ』を配信開始しており、第4四半期はその業績への影響がどのくらいになるのかをまずは見極めたい。

・ガンホー<3765>
第3四半期(7~9月)は、売上高は前四半期比で11%減の208億4000万円、営業利益は同6%減の87億3700万円となった。主力の『パズドラ』とその他タイトルの売上高が減少したことが要因で、『パズドラ』は、ユーザー数は高水準を維持しているものの、MAU(月次アクティブユーザー数)がゆるやかな減少傾向が続いている。なお、減益率が少ないのは広告宣伝の効率化を図り、広告宣伝費を前四半期比34%減少させたことによるものとなっている。

・gumi<3903>
第1四半期(5~7月)の売上高は前四半期比2%減、営業利益は同46%減となった。売上高は若干の減収にとどまったものの、利益面では『誰ガ為のアルケミスト』のTVCMの放映で広告宣伝費が膨らんだことで利益率が低下した。続く第2四半期は、売上高は前四半期比6%増を見込むものの、営業利益は同31%減となる見通し。『ファンキル』のTVCM放映に加え、新作3タイトルの広告宣伝費の増加、大型タイトルの開発に伴う開発費の大幅な増加が見込まれるという。

・シリコンスタジオ<3907>
第3四半期(6~8月)の売上高は前四半期比25%減の13億2200万円、営業損益は4億4400万円の赤字計上となった。コンテンツ事業で6月からマイネット<3928>グループの新設子会社S&Mゲームスに譲渡した『刻のイシュタリア』と『逆襲のファンタジカ』の売り上げが計上されなくなったことが減収の大きな要因。通期計画は黒字予想としているが、第3四半期までの実績を踏まえると、かなり展望が厳しそうだ。

・Aiming<3911>
第3四半期(7~9月)は、売上高が前四半期比12%減の13億6900万円となり、営業損益は9億9900万円の赤字計上と赤字幅が一段と拡大した。『ルナプリ』など自社開発・自社配信のゲームアプリの売り上げが減少したことや、サービスを終了したタイトルの影響が出たことが大きな減収要因となった。また、主力の『ログレス』も回復せず、低調な推移が続いた。一方で、新作『CARAVAN STORIES』が第4四半期中のリリース予定となっており、その費用が先行する形になっている。

・モバイルファクトリー<3912>
第3四半期(7~9月)の売上高は前四半期比4%減、営業利益は同11%減となった。主力タイトル『駅メモ!』において、ユーザー数の拡大を最優先し、現状は課金ユーザーを増やしていくような施策には積極的には注力しておらず、課金率が相対的に低下したことが減収につながった。一方、ユーザー数の獲得に向けた積極的なプロモ展開により、広告宣伝費が前四半期の8600万円から1億4600万円に増加している。なお、新作は来期に向けて開発中であり、第4四半期はここまでの延長線上の推移となりそうだ。
 

■まとめ


このところのストアランキングを見ていても、大きく顔触れが変わりつつあるが、未上場企業(アニプレックスなど)や海外企業(Netmarble Gamesなど)のタイトルも多く、競争は一段と激しさを増している。そうした中で、プロモーションの重要性が増している部分もあり、各社のコストが増加傾向にあることは否めないだろう。

また、費用分担という観点からオリジナルタイトルについても協業スキームが増えてきており、例えば、スクウェア・エニックスとポケラボ(グリー子会社)の『SINoALICE』のようなヒットタイトルも誕生している。

なお、直近では任天堂とDeNAの協業タイトル『どうぶつの森 ポケット キャンプ』が早くもApp Storeの売上ランキングでトップ10入りを果たしており、今後も協業スキームによるタイトルはさらに増加していくことになりそうだ。

(編集部:柴田正之)

 
グリー株式会社
http://www.gree.co.jp/

会社情報

会社名
グリー株式会社
設立
2004年12月
代表者
代表取締役会長兼社長 田中 良和
決算期
6月
直近業績
売上高754億4000万円、営業利益124億9800万円、経常利益130億8600万円、最終利益92億7800万円(2023年6月期)
上場区分
東証プライム
証券コード
3632
企業データを見る
KLab株式会社
http://www.klab.com/jp/

会社情報

会社名
KLab株式会社
設立
2000年8月
代表者
代表取締役社長CEO 森田 英克/代表取締役副会長 五十嵐 洋介
決算期
12月
直近業績
売上高107億1700万円、営業損益11億2700万円の赤字、経常損益7億6100万円の赤字、最終損益17億2800万円の赤字(2023年12月期)
上場区分
東証プライム
証券コード
3656
企業データを見る