【ラプラスリンク特集⑤】βテストから"生まれ変わった"といえるほどに改善 上田Pに訊くゲームの見どころと改善ポイント、リリース後の展開


gloopsのスマートフォン向け新作RPG『LAPLACE LINK -ラプラスリンク-』(以下、ラプラスリンク)のリリースが迫ってきた。様々なソーシャルゲームの常識に挑戦すると標榜している本作だが、どういった常識を破壊し、そして新しい楽しさを生み出そうとしているのか。Social Game Infoでは、『ラプラスリンク』の特集を5回にわたって行い、その魅力に迫る。第5回目となる今回は、再びプロデューサーの上田朋宏氏にインタビューを行い、『ラプラスリンク』の魅力やオープンβテストからの改善ポイントとともに、リリース後の展開についても話を聞いた。

 
■上田朋宏氏プロフィール

慶應義塾大学から早稲田のロースクールに進学、IT関係の法律家を目指すも、自分が本当に好きなことを仕事にするために、2012年ゲームプランナーとしてgloops入社。入社後は、ディレクターとしてmobage版『スカイロック』のリリースに関わり、2014年に「LAPLACE LINK」のプロジェクトを立ち上げる。
(→Twitterアカウント


 
■オープンβテストの反響

――:よろしくお願いいたします。リリースがいよいよ間近に迫った『ラプラスリンク』ですが、あらためてその魅力を教えて下さい。

ラプラスリンクは、街やダンジョンを自由に歩き回って冒険できるゲーム性や、リリース前にも関わらず「設定資料集」を作って出してしまうくらいこだわった世界観・キャラクターが存在するRPGです。数多くあるスマホRPGの中でも、家庭用ゲーム機のRPGに近いような、遊びごたえのある作品に仕上がっていると思います。
 


――:12月にオープンβテストを実施しましたが、どう評価していますか?

自分たちが強みに思っている部分についてお客様から高評価を頂き、自信になった一方で、多くの課題も見つかったβテストでした。普通はβテストから1~2ヶ月でリリースするタイトルが多いのですが、「中途半端なまま出しても仕方ない」と考え、課題に対して抜本的な解決を図った結果、3~4ヶ月もの時間を費やすことになりました。

楽しみにして頂いているお客様をお待たせするのは心苦しいですし、自分たちも早くこの作品を世に出したい思いはあるのですが、長く遊んで頂けないものをリリースしてしまうのは全ての人に対する一番の裏切りになってしまいます。自分たちが満足していない、誇りをもって出せない状態のものをリリースしても、成功する確率はゼロです。ここは我慢のしどころだと考えました。



――:ユーザーからの反響で印象に残ったことはありますか。いろいろな意見があったかと思いますが。

ポジティブ・ネガティブの双方があるのですが、まずネガティブな方から行くと、「重い」というご指摘をとにかく頂きました。さきほど紹介させて頂いた、街を歩き回る部分などブラウザとしては過去にない挑戦をしているので、読み込みや描画が重くなるのはある程度想定できましたし、検証も行っていたのですが、一部のOS・端末では予想を上回る動作の重さでした。ここについては真摯に受け止めて、最大の改善ポイントにしています。

それから、次に多かったご指摘は、「メニューの使い勝手が悪い」というものです。RPGの醍醐味である、キャラや武器の育成などのやりこみ要素を豊富に用意しているのですが、その分メニューが煩雑になり、使いたい機能に直感的にたどり着けないようになっていました。ここも後ほどお話しますが、全面的に改修しています。

続いて、これはネガティブに限らないと思うのですが、バトルの仕様に関するご意見を多く頂いたのが印象的でした。「せっかく動けるバトルならこうした方がいい」「このバトルではこういうことがしたい」など、ゲームが好きなコアなお客様に遊んで頂けている実感があり、嬉しかったです。もちろん、頂いた意見を参考にバトルの仕様を再調整しています。



――:なるほど。βテストではずいぶん熱量の高い人が集まったんですね。ポジティブな意見についてはどういったものがありましたか。

その点については、キャラクターのイラストに対する好意的なご感想を多数頂きました。単に「見た目が良い」というだけでなく「この話に出てくるこのキャラが良い」など、ストーリーと絡めて評価して頂いており、うまく物語に没入して頂けたのではないかと思っています。

最後に、「もっと街中を歩き回りたい」「どうせなら建物に入りたい」「街に宝箱を置いてほしい」などの提案型のご意見が多かったのが印象的でした。バトルの意見もどちらかといえば提案型ですね。こういったβテストでは、目につきやすいストレスポイントや、改善ポイントについてご指摘を頂くことが圧倒的に多いのですが、提案型のご意見を頂けたのは、それだけお客様に“面白くなる可能性”を感じて頂けたからではないかと考えています。



 
■動作速度、メニュー、チュートリアルを中心に改善

――:ユーザーからネガティブな意見以外にも、テストして初めて分かったことがあっただろうと思います。これらを受けて、オープンβテストから、どういった改善を行ったでしょうか。

細かい部分の改修は無数にあるのですが、大きくは次の3点です。

第一に、読み込みと描画の速度を改善しました。フロントエンドエンジニアの和田も言っていたように(第四回参照)、WebGLを使って描画を高速化したり、画面に表示されている画像だけを描画するようにしたり、なるべく音や画像などのリソースをローカルにキャッシュして読み込み時間を短縮しています。これで、明らかに動作が軽快になりました。

さらに、実速度だけではなく、体感の部分も大事にしています。例えばキャラの歩きや攻撃モーションのFPS(フレームパーセカンド)を上げたり、コマを中抜きして見た目上の動きを早くしています。やりすぎると早送りのように見えてしまうのですが、インタラクティブデザイナーの黄とも相談の上、ギリギリの線を狙っています。

あとは、画面を触った時にフィードバックが返ってこないとフリーズしているように感じてしまい、これも重さを感じる原因となりますので、全体的にフィードバックを強めるようにしています。

これらの改修で体感的な速度は相当早くなったのですが、どうしても速度が出ない一部のOS・端末には、アプリ版やPC版といった選択肢を用意させて頂きました。ぜひ一番良い環境でプレイして頂ければと思います。

第二に、使いにくかったメニューUIを全面改修しました。実はオープンβテストの最中から、デザイナーの荒井と「ここはかなり手を入れなきゃまずいね」と話しており、荒井から「もっと家庭用ゲーム機のRPGのようなメニューに寄せていきたい」という提案を受けて全面改修に踏み切った経緯があります。新しいメニューUIは、3月に行ったリサーチとして複数名に触っていただいており、そのご意見をもとに現在も調整を続けています。慣れれば使いやすいが最初が少しわかりにくい、とのことでしたので、一番最初に使うときに丁寧なガイドを出すようにしています。

 

最後に、チュートリアルを大幅に直しています。これまで世界への没入感を重視するあまり、説明不足な点が多々ありましたので、しっかりとした説明を心がけています。

個人的には、強制的なチュートリアルが長く続くというのが好きではないので、強制的にお客様の動きをコントロールして絶対に覚えて頂きたい部分と、気になる方だけ任意で補足して頂く追加情報の部分を意図的に分けて作っています。かつ、これらをストーリー展開に合わせながら自然に進められるようにしており、ディレクターの涌井やシナリオライターに1章のストーリーを調整してもらいながら進めました。

その他細かい点でいえば、イラストの塗りや彩度などを全体的に調整しなおしています。これだけの長期間開発を続けていると、初期に描いたイラストと後期に描いたイラストではどうしても微妙な差異・バラつきが出てしまいます。リードイラストレーターの川口の監修のもと、60体(×3段階)以上のキャラクターのイラストを調整しなおすという大々的なことをしています。



 
■リリース後の展開 メディアミックスやコラボも

――:それは本当に大々的に改善したんですね。リリースが楽しみになってきました。事前登録者数が15万人を超えるなどユーザーからの期待が大きいですが、感想を。

実は先日、事前登録者数が20万人を突破しました。現在も順調に増加中です。このご時世に20万人超というのは弊社でも珍しく、また他のタイトルでもあまり聞かない数字だと思います。事前登録期間が長いこともありますが、やはり多くのお客様に期待して頂けている実感があります。それだけに、最初に言った通り中途半端なものは出せないので、最後の最後まで調整をしていくつもりです。

事前登録についてTwitterなどで反応を見てみると、キャラクターのイラストやPVについてのポジティブな評価が目立ちました。やはり事前登録をして頂くお客様の中で、ゲーム性までしっかり確認して登録される方というのは少ないので、まずは見た目が引っかかるかどうかが全てだと思います。そういった点では、ビジュアルに徹底的にこだわってtoi8さんにメインキャラクターデザインをお願いしたのは間違っていなかったと思います。

PVについては、主題歌のやなぎなぎさんの曲が素晴らしいということと、あとは映像を手掛けて頂いた制作会社さんの協力が大きいと思います。こちらもリリース前に10万再生を突破し、狙っていた一定の効果は出たと考えています。

 
【PV第1弾・第2弾】


――:リリース後、どういった運営を行っていきたいですか?

まずはラプラスリンクの物語を楽しんで頂くことが一番なので、ストーリーの追加は定期的に行っていきたいですね。お客様の反応を見ながら、メインクエストを追加するタイミング、サブクエストやキャラクエストを追加するタイミングなどを複数設け、飽きずにプレイして頂けるようにしたいと考えています。

また、クエストをクリアされた方にはマルチバトルを楽しんで頂きたいので、新たなボスや難易度を追加していきたいと考えています。

この2点がベースとなるアップデートで、それ以外にも随時キャンペーンや季節のイベントなどを開催していく予定です。大きなスパンでは、半年に1度くらいのタイミングで新しい遊びを提供する大型アップデートをかけられればと思います。1回目は、リリースの2~3ヶ月後を予定しているのですが、大人数で参加できるバトルを出せたらと考えています。楽しみに待って頂けますと幸いです。



――:他作品とのコラボやメディアミックス展開についての考えを教えて下さい。

これについてはしっかりとした戦略を立てて進めている最中です。基本的な方針は明快で、「ラプラスリンクの世界観を補完・拡張するものはアリ、そうでない単なる流入目的はナシ」という考えでやっていきます。これはライツイン・ライツアウトのどちらについても同様です。

例えばコラボひとつをとっても、単に人気作品で新規のお客様の流入が見込めるから、という理由ではやりません。「絵柄の親和性はどれくらいあるか?」「ラプラスリンクのクエストシステムに合うか?」「世界観や物語上違和感のある組み合わせではないか?」「ラプラスリンクをプレイして頂いているお客様が喜ぶコラボか?」などの観点からしっかりチェックし、その上でプロモーション効果を掛け合わせて考えています。

これがお客様の頭にハテナが浮かぶようなコラボ、とりあえずやってみたというようなコラボでは、ラプラスリンクにも、コラボ先の作品にもメリットがないと思います。逆にいうと、誰もが知っているような人気作品でなくても上記が合えばコラボを積極的に検討しています。

メディアミックスについては、この記事の時点では言えないのですが、ひとつ大きなものが動いています。近いうちにお伝えできると思うのですが、こちらもゲーム同様、1年以上の時間をかけて動いておりますので、ぜひ多くの方に見て頂きたいと思います。

 

――:最後に読者にメッセージをお願いします。

これまで、5回にわたってラプラスリンクの連載を取り上げて頂きました。その中で、色々と自分たちがしてきた挑戦についてお話してきたのですが、狙い通りにいきそうなものもあれば、上手くいかなそうなもの、お客様の反応を見ないとどちらか分からないものなど、たくさんあります。

しかし、そんなことは些末なことです。企画や技術的挑戦は、この記事を読む皆さまに伝えたかった本質ではありません。全ての開発者の中で、自分たちが特別な挑戦をしていると言うつもりはないですし、リリース前のコンテンツの企画や技術について話してもピンとこない方が多いと思いますので。

一番伝えたかったことは、「ゲームが好きで好きで仕方ない連中が、本当に楽しんでゲームを作っている」ということです。

僕は決して器用なタイプのプロデューサー/プランナーではないので、例えば「小学校低学年の女児向けのゲームを作れ」とか言われたら途方にくれると思います。その反面、自分がターゲットど真ん中のゲームを作ることに関しては、妄執とでも呼ぶべきこだわりを発揮し、自分にとってもの凄く刺さるゲームを作ろうとします。例えば、リリースに追われて必死に作業している真夜中にクエストを触っていて、もう100回くらいは見たシーンなのに、「やっぱおもしれーわこのゲーム」となったりしますから(笑)

そして、家庭用ゲーム機のRPGが好きだった方、かつてプレイしていたけど改めて今据え置きゲームをするほどの情熱が持てない方、それでもスマホRPGは何か物足りないと思っている方など、そういう方は僕以外にもたくさんいるんじゃないかと思います。そういった方にこそ、ぜひラプラスリンクを遊んで頂きたいです。

思春期の真っただ中にゲームにドハマりし、親にコントローラーを隠されるまで夢中になってRPGをやりこんだプロデューサーと、それに負けず劣らずのゲームヒストリーを持つ仲間が集まって作り上げた作品、それがラプラスリンクです。リリースまで期待してお待ち頂けますと幸いです。



 
■これまでの掲載記事

【第4回】
【ラプラスリンク特集④】OBT対比で動作速度が大幅改善。快適な操作性と新しいゲーム体験を生み出す取り組みとは



【第3回】
世界観設定に基づく"根拠のある"デザイン・イラスト・インタラクティブデザイン



【第2回】
gloopsがシナリオにこだわったワケとは? 「取ってつけたシナリオや予定調和のゲームは飽きられている」



【第1回】
gloopsはソーシャルゲーム業界の常識をどう破壊し再構築したのか 上田Pが語る破壊の先で作り上げた"新しい楽しさ"



【制作発表会】
gloopsの新作『LAPLACE LINK』は常識を打ち破る新世代ブラウザゲーム マップ移動型&アクションバトル、"リアル"な世界観・キャラが魅力


 
 
 
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会社名
株式会社gloops
設立
2005年8月
代表者
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