【インタビュー】ソーシャルゲームのコミカライズを手掛けるフーモア 多数のリピーターを抱えるマンガ工房の高評価の秘密は?


イラスト、漫画、3DCG、2Dアニメーションの制作を手掛けてきた株式会社フーモア。ソーシャルゲームのカードイラストをメインに、最近ではプロモーションの一環として、ゲームを原作としたコミカライズを手掛けて成長してきた会社だ。その仕事ぶりにリピーターも多いという。
  
今回、代表取締役CEOでマンガ家でもある芝辻幹也氏と、マネージャー・プランナーである斉藤隼大氏にソーシャルゲームのコミカライズを中心に、フーモアのビジネスについてお話を伺った。
 
  
 

■ソーシャルゲームのイラストから軌道に乗り、コミカライズを手掛ける


——まずは、フーモアさんがこれまでどのような事業を行ってきたのか、ご紹介をお願いできますか?
 
芝辻幹也氏(以下芝辻氏) もともと私が学生時代マンガ家を目指していたんですが、マンガで身を立てるのは難しいと感じ、一度マンガ以外の道に進みました。さまざまな業種の人たちと関わりたいと思いコンサルティング会社に勤める傍ら、シェアハウスで生活をはじめました。そして、シェアハウスの住人の一人から起業の誘いを受け、会社を設立することになったんです。斉藤とはそこで知り合いました。
  
その後、別のベンチャーに転職して、あるとき「結婚式の似顔絵を描いてほしい」と依頼を受けて、80枚ぐらいの似顔絵を納品したら、「あなたも結婚式に来てください」といわれて。行ってみたら、出席者のテーブルにネームプレートとともに似顔絵がプリントされていて、お客さん同士が「似ている、似ていない」と会話をしているのを聞いて、「ああ、やっぱり自分は絵で仕事がしたいんだ」と思いなおして、今の会社を立ち上げました。
 
最初はWebマーケティングと病院のコンサルティングをしながら、お金を稼いで、その分を使ってマンガのサービスを作る、もしくはマンガを作るという形でやっていたんですが、なかなかうまくいかなくて。ある時、「ゲームのイラストを描いてほしい」と依頼を受けて、それが定期的に来るようになったんです。「これはなんなんだろう?」とフタを開けてみたら、ソーシャルゲームのものだった。毎週毎週イベントでイラストが大量に、定期的に必要だと。そこで、「こっちにいった方がマンガに近いだろう」ということで舵を切ったところ、会社もグッと成長していったという感じですね。
 
そうして3年ほど経って、ある程度事業に規模感も出てきましたので、「いよいよマンガをやるか」ということで。うちの4期目の頭から、マネージャーの斉藤といろいろ仕込んできています。ソーシャルゲームのコミカライズをやるようになったきっかけは、ディー・エヌ・エーさんの「マンガボックス」のマンガを使ったネイティブアドでした。
 
当時はマンガボックスやcomicoのようなアプリで読めるマンガサービスが急増してた頃で、その中でもマンガボックスさんは最大手のひとつでした。そのマンガボックスさんが「広告のマンガをやる」ということで、その制作依頼がうちにきたんですよ。そこでさまざまなサービスとタイアップしたマンガ制作をしてきたのですが、やはりソーシャルゲーム原作のマンガの反応がとても良くて。
 
そんな感じでノウハウが貯まってきた頃、気が付くとソーシャルゲーム業界でマンガを使ったプロモーションが流行ってきまして。「これはいける!」とゲームのコミカライズ事業を立ち上げました。
 

▲代表取締役CEOの芝辻幹也氏。

斉藤隼大氏(以下斉藤氏) プロモーションのためのマンガ以外にも、既存ユーザーのリテンション、チュートリアルや世界観の説明、キャラの掘り下げ、アニメ化に向けての原作づくりなど、ソーシャルゲームとマンガを組み合わせてできることは多いです。事前登録とも相性がいいですよね。

弊社は元々ソーシャルゲームのイラスト制作をメインに行ってきた会社なので、相性バッチリでした。

 
——そのお仕事ですが、クライアントとなるゲームメーカーさんからの発注という形が多いのか、それともフーモアさんから提案する形もあったりするんでしょうか?
 
斉藤氏 現状、こちらから提案することはなくて、メーカーさんからの依頼ですね。ソーシャルゲームを制作されているメーカーさんから、何らかの意図があって、コミカライズを依頼されるという形です。


——そういった場合、クライアントさん側でもうページ数やテイストだとか、内容やプランはかなり固まった状態で発注されているということですか?

斉藤氏 そうですね。たとえば「○月にプロモーションを打ちたいからマンガを作りたい」とか、「事前登録を始める際、ゲームの世界観を伝えたいからマンガを作りたい」とか、「書籍を出したいから」といった形で依頼を受けることがほとんどです。
 

▲マネージャー・プランナーの斉藤隼大氏。
 
 
——そうなると、納期的にはけっこうタイトなものが多いのでは? と想像してしまうのですが。
 
斉藤氏 そうです(笑)。通常の編集プロダクションさんでは対応できないぐらいのタイトなスケジュールもありまして…「○月にCMを打つにあたって、その一環でマンガもやりたい」といった形で締切がもう決まった状態で話が入ってきて、大体、広告予算の都合で2か月ぐらい前の時期に決まることが多いので、それに対してスピード感を求められることも多いです。
 
芝辻氏 単純に1本作るだけならまだいいんですが、20本とかになると、短期間に品質を落とさず作らなければならないので…マンガ制作には企画、ネーム、ペン入れと大きく3工程あるのですが、紙の時代はマンガ家さんが一人でこの3つをやってきていますよね。今でも基本的には作家を指定してお願いする、という形の作業が一般的だと思います。

弊社の場合、イラスト制作を手掛けてきたことで、外部イラストレーターさんがたくさん所属していて、シナリオライターが若干名、その中にはたまたま過去にアニメ制作会社にいて、コンテやシナリオが書ける人間がいるんです。主に斉藤がプランナーとしてお客さんと折衝して、プランが固まったら外部に発注しつつ、仕上げていくというスキームになっています。

 


 

——分業制なんですね。
 
芝辻氏 この作り方自体は新しいものではなくて、さいとう・たかおプロですとか、アメコミの作家さんでは多いスタイルです。そういうところでは、スタッフが顔を合わせながら、自分の工程が終わったら紙を回して…というスタイルが多いんですが、ネットワークを使ったデータのやりとりをイラストでやっていたこともあって、マンガも同じようなスタイルで制作しています。

斉藤氏 イラスト制作でそのやり方に慣れていたこともありまして。もう1つは、ソーシャルゲームのイラストを手掛けてきていましたので、イラストレーターさんもソーシャルゲームのイラストのノリをすぐ理解できるという点は強みですね。コミカライズするゲームのイラストのテイストにすり合わせることもあまり時間をかけることなしに対応できるので、スケジュールがタイトでも作業を走らせることができる、というのがうちの強みの1つではありますね。
 
メーカーさんも自分のタイトルのものにこだわりを持っていらっしゃるので、絵柄もゲームのテイストに寄せてくれ、という要望をいただくことも多いのですが、そういった要望にもきちんと応えられるクオリティを達成できていると自負しています。一度お仕事させていただいたクライアントさんからのリピート率も増えていますし。
 
 
——1つ1つ細かく打ち合わせをするとなると、それだけでも時間がかかりますよね。
 
斉藤氏 そうなんですよ。どうしても原作付きのマンガって、取材工数がものすごくかかるんですよね。特に設定が凝っているゲームだったりとか、美少女ものですと性格や口調だったり、キャラクター同士の関係を把握して、ゲーム内のノリに合わせないといけないので、どうしても時間がかかってしまうんですが、そういうところ(シナリオやネーム)を社内で担当することでクオリティを担保して、作画を外部の方に担当していただくことで、スピードを出せると。
  
 
——今まで数多くのゲームのコミカライズを手掛けられてきたとお伺いしているのですが、数とスピードとクオリティの担保に関して、うまくいっていることはありますか?
 
斉藤氏 通常、マンガ家さんは出版社さんとコミュニケーションを取ることで作品を作りますよね。うちの場合、マンガを知らないクライアントさんとコミュニケーションを取る必要があったりします。それが難しいところの1つで、たまたまうちはイラストを制作していたこともあって、クライアントさんとのやりとりでどういったイラストを作っていくか、というディレクションができる人間が多くいることもあって、コミュニケーションのノウハウがたまっているのは大きいのかなと。


——アウトプットに関してお伺いします。電子書籍、アプリ内と縦読みするにしても大きさが異なったりすると思うのですが、それについてはどう対応されているんですか?
 
芝辻氏 コミックアプリに関しては基本的に大きな差はないので、こちらが出したものに合わせてもらっていますね。
 
斉藤氏 スマホは解像度は高まってきましたが、マンガを読む媒体としては画面サイズはやはり小さいので、あまり凝ったことはできないですね。背景を細かく描き込んでも判読できなかったりするので、パターンがだいたい決まってきます。ですので、マンガアプリのフォーマットか、最近増えてきた縦にスクロールさせるやり方か、4コママンガといったパターンがいくつかあるので、こちらで蓄積したナレッジからご提案させていただくことが多いですね。結果的にたくさん作っているので、ナレッジがたまりやすいというのはありますね。
 
 
——モノクロとカラーの違いもあるかと思いますが、やはりカラーは時間がかかりますよね?
 
芝辻氏 そうですね。
 
斉藤氏 イラスト制作でも、線画まではこの作家さんで、着色はこの作家さんで、と分業することが多くて、着色専門の作家さんも多くいますので、カラー原稿も分業化で対応できていますね。
 
芝辻氏 カラーの場合、線画が上がってきたものから順に着色に回していくという形で平行して作業することができていることが大きいと思います。
 

——クライアントさんのチェックに関しては、どのタイミングで入るものなんでしょうか? まず企画段階でチェックがあって、ネームが上がった段階でもう1回、あとはペン入れ後仕上がりを確認、というイメージなのですが、実際はどうなんでしょう?
 
斉藤氏 直接何度も会うわけにはいかないので、ネットワーク経由で過程ごとに細かく見ていただくようにしています。打ち合わせで方向性をヒアリングした後、コンセプト案やストーリー案というべきもの…例えば、「新規ユーザーを集めたいファンタジーもののゲームです」というオーダーがあれば、いくつかパターンが考えられるじゃないですか? …ゲームのシナリオの前日譚だったら、マンガのラストでゲームの始まりにつなげてユーザーさんの期待を膨らませることができるとか、人気キャラクターを前面に押し出すことで主人公の存在感を高めてみたりだとか。
 
クライアントさんのニーズを踏まえて3パターンぐらいの内容を提案させていただいて、それをまずチェックしていただきます。これで問題がないようであれば、テキストベースでもっと細かい記述をしたものを作って、イメージの確認をしていただきます。次はネームでチェックを1回入れて、問題がなければ原稿を1ページだけ作って、テイストやクオリティに問題ないかどうか見ていただくと。これでOKが出た段階で本制作に入っていきます。
 
 
——本制作に入る前に細かく段階ごとにチェックを入れてもらっているんですね。
 
斉藤氏 作画に入るまでが一番コミュニケーションをとらなくてはいけないところです。
 
芝辻氏 絵に取り掛かったところで「ストーリーはやっぱりこうで…」って言われてしまうと、今までやった作業が止まってしまうので、先にきちんとすり合わせておく必要がありますね。
 
 
——そこまで確認を繰り返しておけば、後からひっくり返されることもなくなるってことですよね?
 
斉藤氏 「この時点でここまでをひっくり返さないでくださいね」と言質をいただいています。
 
 
——国内外問わず、ゲームのジャンルも問わず、いろいろなメーカーさんのお仕事をされていますが、新規タイトル、長期運営してきたタイトル、それぞれプロモーションコミックとして求められるものが違ってきますよね? 特に運営が長いタイトルだと、ゲーム内のシナリオでもキャラクターがいろんなことをやってきていて、いざコミカライズでさらに別のことをやろうとすると、新鮮味のあるパターンが見つからない…なんてことはありますか? しかも納期が短いとか…っていうお仕事、結構あるんじゃないですか?
 
斉藤氏 多いですね(笑)。
 
芝辻氏 同じクライアントさんで同じゲームのコミカライズを何度かやってきてますね。
 
斉藤氏 おかげ様でリピーターさんが多くいらっしゃいますが、おっしゃる通り似たようなジャンルも多くなってきましたし、それが連続で来られたらどうしよう? といったことは確かにありますね。

話題的に少し違うかもしれませんが、最終的にどうしたいのか、というクライアントさんのニーズと、「こういうものが作りたい」というクリエイティブ面のニーズがマッチしない場合が結構ありますね。
 
例えば、「新規ユーザーを獲得したい」という新作アプリで、「4コママンガをやりたい」ということを言われることがあるんですが、4コママンガは「あるあるネタ」というか、ゲームを遊ばれる方が喜ぶようなネタがユーザーさんには喜ばれるんですよ。逆に新規ユーザーさんからすると内容的に置いてけぼりになってしまうことも多くて、その場合「継続率にはあまり繋がらないですよ」とこちらからお話させていただくことがありますね。そういう場合はご説明をした後に、対案としてこちらからプランをお出しして調整したりといったことは多いです。

 
——キャラが周知されていない新規タイトルでいきなり4コマは難しそうですね。IPタイトルなら別かもしれませんが…。
 
芝辻氏 キャラをこちらで立ててしまうこともありますね。
 
斉藤氏 ソーシャルゲームの場合、企画の熱量というものが会社さんごとにかなり違っていて、ガッツリ世界観から設定まで作っているところがまだ少なかったりして、カードイラストの指示書まででキャラクターの口調といったところまでは設定されていなかったりですとか結構あるんですよね。そうなると、こちらでIPを育てる、という意気込みで、世界観を把握したうえで、「このキャラはこういう動きをするだろう、こういうセリフをしゃべるだろう」と想像したうえで、そのキャラを歩かせる、というところまで面倒を見るところまでやらないと、マンガとしては面白くならないということもありましたね。私たちにはこういったことまで含めて求められていると考えていますので、前向きに取り組んでいます。

 
——細かいことまで決まっているなら、おのずと内容も決まってきますよね。
 
斉藤氏 逆に細かいところまでガッチリ決まっているところでしたら、ある程度シナリオの骨になるところはクライアントさんの方で決めていただく、ということもあります。たたき台になるものはこちらで作って、先方と打ち合わせた結果によっては、クライアントさんで作っていただいた方がいいものが作れる、ということであれば、実例等を踏まえて説明させていただいて、納得いただいた上で作っていただくという流れになりますね。

 

■面白いマンガを作っていくことでIPを育てていくお手伝いを



 
——コミカライズのお仕事を含めて、フーモアさんとお仕事されている外部の方々に対して、フーモアさんとしてアピールできるポイントは今までお話いただいたほかにも何かありますか?
 
芝辻氏 現状、ソーシャルカードゲームのお仕事が減ってきて、作家性を出すよりも絵柄を統一して、レギュレーションに合わせた絵を…というお仕事が増えてきて、仕事の傾向が変わってきていますよね。でも、マンガは自分の絵柄で勝負できるということも多いので、作家さんのお仕事の新しいフィールドの1つとしてのマンガ、という手法はアリだと感じているところです。一枚の絵で勝負するイラストレーターと、ストーリーやカットの連続などいろんな要素で勝負するマンガ家は描写や手法が異なる部分もありますが、うちのスタッフにもプロがいますので、ノウハウは蓄積できていますので、そういった部分を学んでいきつつ、活躍の場所がまた一つ増えるという認識ですね。

斉藤氏 イラストは比較的短い時間で作ることができるものもありますが、マンガは時間がかかりますよね。1人でやると1か月ぐらいかかってしまいます。それに、マンガ家さんの傾向として、スキルセットがやや偏っている方が多いことが挙げられますね。ストーリー作りはすごくうまいけれど、絵はまだ技量が追いついていないとか、全体的にうまいけれど、ファンタジーしか書けないとか…。それってすごくもったいない状況で、ストーリーは一線級なのに、絵がまだだから表には出られない、とか。そういう方に仕事がない状態なんですが、うちでは制作会社として分業制でやっているので、シナリオだけとか、イラストの着色だけをお願いすることもできるんですね。そういう方にマンガの一部分のお仕事をお願いしつつ、スキルアップを図っていけば、今度は別の部分も…とやっていくことができるのは強みになると思います。マンガ家は全部を求められてしまうので、そこは大変だと思いますので。
 

 
 
——パートごとに作家さんをアテンドする方法で作業される場合、スタッフの組み合わせなどはどうやって決定されているんですか?
 
斉藤氏 そこはクライアントさんのニーズと相談ですね。どうしてもこの時間でやってくれ、と言われれば、その納期に間に合わせられるスピードを持ったスタッフをアサインしますし、ネームと作画を分けるのも、統一感の観点からすると同じスタッフが手掛けたほうがいいですが、やはり納期に間に合わないのであればあえて分けるという判断をします。ニーズに合わせて柔軟に対応していく形ですね。

 
——これは個人的興味にもなるのですが、フーモアさんで現状、ラインとしてはどれぐらい同時に走らせることができるものなんですか?
 
芝辻氏 だいたい40ラインぐらいですかね。社内でディレクションするスタッフのキャパシティがそれぐらいになりますね。同時に40ぐらい走らせることができれば、マンガ雑誌1冊分ぐらいにはなります。
 
斉藤氏 読み切りばかりでしたら、企画から納品まで、雑誌1冊分程度の本数を1人で担当、ということは過去にありました。さすがに大変でしたが。
 

——現状、フーモアさんの事業領域的に、コミックに割いているパワーとしては、全体の何割ぐらいになるのでしょうか?
 
芝辻氏 イラストが2D、3Dありますのでそちらがメインですが、今コミックが1割ぐらいになりますね。今後はコミック関連事業が大きくなっていくのではないかという見通しをしています。
 
斉藤氏 芝辻の経歴にもありましたが、今後はもっとマンガにシフトしていきたい、という思いはありますね。
 
芝辻氏 プロモーションにおけるマンガの事業が大きくなってきているので、それをしっかりと拡充しつつ、オリジナルのマンガにも注力していきたいと考えています。完読率の高さが数値で出てきていますので、今後は「どんな人にどんなマンガが刺さるのか」というあたりもリサーチしていって、作家さんの発掘とともにオリジナルのマンガにシフトしていければと思っています。
 
現状メインとなっているソーシャルゲームのプロモーションのマンガにおいても、単に広告という意味だけでなく、オリジナルのマンガを作る勢いで、IPを全力で支援するような内容のものを3本ほど展開しているので、実績を作りつつ、今後も広げていきたいと考えています。

マンガはIPを育てるような目的と相性がいいと考えていますので、ゲームの差別化という点においても、ユーザーさんにキャラクターに愛着を持ってもらって、そのIPを育てていく目的においては、マンガというソリューションはありなんじゃないかなと。うちとしては、面白いマンガを作っていくことで、メディアミックスの一つの手法として、コミックだけでもゲームとともに勝ちパターンに持っていけるようなものを、それほどコストをかけずに作っていければと考えています。
 

 
——今後の事業見通しなどはどのようなものになりそうですか? いろいろな方向性が考えられると思いますが?
 
芝辻氏 現状の受託によるコミカライズは規模感を維持しつつ、自社に権利が持てる作品を今度は売りにいくようなアクションを考えていますね。デジタルのマンガはプラットフォームが多いので、コンテンツは売り手市場ですね。現状は比較的古いタイトルを読めるようにしてコンテンツを増やすことが多いですよね。今の時代の人たちに刺さるコンテンツを作っていかなければならないのですが、それにはコストがかかる。そこで、プロモーションのマンガで培った制作ノウハウを基に、何本か試しに出してみよう、と考えているところです。
  
斉藤氏 今、スマホで世界中の方々にマンガを読んでいただける環境になってきて、日本のマンガをそのまま海外に持っていくのは、視線の流れの違いなどがあって難しい。うちはたまたまスマホ向けの広告をたくさん作ってきたことで、読み方、ビューワー、話題的な意味でも日本のマンガは日本とアジア周辺までしか見ていないものが多いということに気づきました。うちはそのナレッジを蓄積できているので、もっと広い領域を狙った作品も送り出すことができるのではないかと考えています。

 
——作る段階でそのあたりを意識すれば、海外展開も可能だと。
 
芝辻氏 そういった意味では、既存のマンガをスマホに最適化して持っていくツールを作ったんですよ。特許出願中でこれから審査という段階なんですが、ある程度オートで既存のマンガをスライスして、縦に読めるように配置していくといったものです。スマホというデバイスに合わせてマンガを見やすくするというのはマンガプラットフォーム的にもユーザーの満足度を上げる施策だと思っていますので…。ただ、スライスするということは編集行為になってしまいますので、それをOKとしてくれる作家さんがどれぐらいいらっしゃるかによって、このツールが使えるかどうかが決まるんです。UI的にはそうしたほうが読みやすいですからね。

斉藤氏 それに加えて、ジャンルも世界的な好みを考えていく必要がありますよね。ある程度いろんな国に向けていろんなジャンルの作品を出してみて、国ごとに違う傾向があると思うので、それをまずは試していきたいですね。
 
 
——ありがとうございました。
 

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