【TGS2015】「過剰なカルチャライズは阻害」「TVCMの歌は最高だ」…『Game Of War』の米Machine Zone社・CEOが日本進出を振り返る


サイバーエージェント<4751>の連結子会社であるCyberZは、9月17日(木)より幕張メッセ(千葉県千葉市)で開催された「東京ゲームショウ2015」(以下、「TGS」)にブース(展示ホール4 「4-C12」)を出展。ビジネスデイ(9月17日・18日)には、日本初登壇となる米Machine Zone社CEO・Gabriel Leydon氏と、CyberZ代表の山内隆裕氏によるゲームショウ特別対談を開催した。

当日は、Machine Zoneの世界的ヒットゲーム『Game Of War』に関して、世界各国におけるプロモーションや市場の違いをテーマに対談が行われた。

そもそも『Game Of War』とは、世界中のオンラインプレイヤーと共に、同盟を組んでメンバーを支援したり、協力して敵を倒したり、王国支配を目指していく無料アプリゲーム。世界32か国以上の言語を同時翻訳する機能が付いており、全世界のユーザーとリアルタイムに会話をしながらプレイが楽しめる。本作は2013年7月のサービス公開以降、世界で7000万ダウンロードを突破し、世界95カ国でApp Storeの売上ランキング1位を獲得するなど、全世界で人気を博している。
 

 

▲左からCyberZ代表の山内隆裕氏、米Machine Zone社CEO・Gabriel Leydon氏。山内氏が「東京ゲームショウ2015」の印象を聞いてみると、「素晴らしい祭典。ロスのE3には何度も行っているが、TGSはよりライブ感が出て興奮している」と語った。

今や世界中のコアゲーマーを虜にしている戦略スマホゲームのヒット作『Game Of War』だが、果たして何故ここまで成長できたのか。その要因を聞かれたLeydon氏は、「本作は開発から始めて5年目になるが、世界中のユーザーが遊べるような環境を考えているところが重要。対応デバイスも現在増やしており、世界中で愛されるコンテンツになることを目標としている」とコメント。

続いて世界的に大規模なマーケティングを展開している同社だが、マーケティングで重要視しているところを尋ねると「やはり目立たせることが重要。常にコンテンツは変化し続けるので、本作では一番の売りとも言えるPvPをフィーチャーするようにしている。とはいえ、今後も市場は変化するため、その打ち出し方を引き続き追い求めていく」とした。
 


戦略性はもとより、クオリティの高いゲーム表現も特徴な『Game Of War』だが、同社がゲーム開発のうえで意識していることは何なのか。そもそもMachine Zone社は、『Game Of War』で大ヒットを記録し、売上や資金面でも十分に潤っているにも関わらず、あまり新作ゲームを出していない印象。

これに対してLeydon氏は、最初に「ゲーム作りは難しい」と前置きしたあと、「本社には現在600人のスタッフがいる。確かに多くの企業は、売上のことを考えながら複数のタイトルをリリースしているが、それではある種、スマホゲームユーザーそのものとなってしまう」と持論を展開した。

つまり、取っ替えひっかえ遊ぶ今のスマホゲームユーザーに対して、わざわざ企業側が矢継ぎ早にタイトルをリリースしてしまうと、その流れを促していることにもなってしまうのだろう。さらに続けてLeydon氏は「我々はひとつの作品に対して徹底的にこだわることを大切にしている。当社のスタッフの80%はエンジニアで、テクノロジーのスキルを活かして会社も作り上げていく」と述べた。

山内氏が「(経営的に)怖くないですか?」と尋ねると、「いいえ」ときっぱり。「多くのゲーム会社があるなかで、恐れている暇はない。なかでも現在中国は、本当に多くのゲーム開発会社が存在する。仮に20本のゲームをリリースして結果的に1本しかヒットしなければ、その19本は無駄になってしまう」と力強い言葉で経営方針を語ってくれた。もちろん失敗タイトルは、今後の開発のノウハウにも繋がっていくのだろうが、Machine Zone社は一本足打法でホームランを狙っていく、まさにアメリカの王貞治選手のような立ち位置なのだろう。

そして、このほど『Game Of War』は日本でもヒットを記録しているが、Leydon氏は日本マーケットの進出に対して、どのような手応えを感じているのか。「正直、ここまで成功しているのは非常に驚いている。日本人には馴染みの薄いチャットやPvPを全面に打ち出しているため、受け入れらないかと心配した」とまさかのヒットに驚いている様子だった。

カルチャライズを施しているかについては、「当初考えたのだが、自国ならではのエッセンスやユニークな経験をしてもらうために、過剰なカルチャライズは阻害になると思い行っていない。もちろんマーケティングは各国のやり方は必要だが、ゲームそのものは世界中の人が面白いと思ってもらえる作品を作ればいいだけ」とコメント。

また、日本のマーケティングで注目なのは、絶賛放送中のテレビCM。「自慢したいプロモーションのひとつ。歌に関しても最高だ! 他社と比べてもユニークなCMを作ることができた。いわゆる外資系企業のCMではない、日本の文化に合った内容になっている」と絶賛したLeydon氏。
 

昨今のe-sports事情を聞かれた際は、「近い将来はゲームを遊ぶ人より、“見る人”のほうが多くなっていく。見る行為はハードルが低いため、今後広がっていくことも理解しているし、何より期待している」と述べた。

最後に今後の展望として、「ますます海外デベロッパーの進出は厳しくなるし、日本も同様に海外の進出は難しくなる。ただ、そのなかでも日本のテクノロジーの進化には期待している。これから日本市場が大きくなるなかで、我々も大きくなっていきたい」とのコメントでステージを締めくくった。
 
 





 

■『ゲーム・オブ・ウォー - Fire Age』
 

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株式会社CyberZ
https://cyber-z.co.jp/

会社情報

会社名
株式会社CyberZ
設立
2009年4月
代表者
代表取締役社長CEO 山内 隆裕
決算期
9月
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