【イベント】「スマホネイティブ世代」に最適な教育環境を…DeNA新事業『アプリゼミ』発表会で語られる「教育アプリ」の可能性

ディー・エヌ・エー(DeNA)<2432>は12月16日、スマートフォンやタブレット用教育アプリ『アプリゼミ』をiOS/Android端末向けにリリースした。2014年4月入学予定の新1年生を対象とした「小学校入学準備号」の配信を皮切りに、2014年4月からは本格開始として「小学1年生講座」をスタートし、対象学年を小学校高学年や中学生に順次拡大、最終的には高校生までを対象とする予定だ(関連記事)。多彩なゲストを招いて開かれた発表会。登壇したコメンテータの発言をみると、教育アプリ事業の今後の可能性、そしてDeNAの教育事業の方向性がある程度見えてくる。
 

■来年の小学1年生は「スマホネイティブ世代」、守安社長「ちょうど私の息子も来年4月に小学1年」


まず登壇した守安功社長は、アプリの狙いについて「教育にエンターテインメントの要素を加え、楽しく学べるアプリを目指す」と説明。DeNAに教育コンテンツのノウハウはないため、NHKの教育番組を制作する「NHKエデュケーショナル」から全面的にコンテンツを提供してもらうという。価格は既存の通信教育と比べて半額以下で、「お手頃価格」とのこと。なお、教育の専門家が監修する。
 

DeNAは難易度のバランス調整や、ゲームのデータ分析などのノウハウの活用する方針だ。「子どもがつまずいたポイントをオンラインで把握し、個別にコンテンツの出し分けや難易度調整を実施し、最適な教育環境が提供できる」という。DeNAが独自調査で保護者が教育教材に求めるものを調べたところ、「自発的に楽しんで取り組めるもの」という声が多かったという。ゲームで培ってきたきたノウハウを使って「達成感の仕組み」を教材に組み込み、勉強を楽しいものにすることで「楽しいから好きになる、好きになれば自発的に勉強する、というサイクルを目指す」とのこと。
 
DeNAがターゲットとした来年の小学校1年生は「iPhone発売と同時の2007年生まれで、スマホネイティブ世代」と指摘。守安社長は「ちょうど私の息子も来年4月に小学校1年生で、現状すでに、スマホ・タブレットをびっくりするくらい使いこなしている」と自身の家庭を振り返り、「スマホやタブレットを使った学習が一般的になると確信した」という。


▲記者会見で登壇した守安功社長


■新たに通信教育を始める層がターゲット、継続使用で「徐々に規模拡大」目指す


守安社長は「ゲーム事業の新規コンテンツや、教育事業や(先日発表した)マンガ事業といった新規事業、全てホームランを打ちたいと思っている。フルスイングで踏み込んでいく」と意気込む。事業の目標数字は明らかにしなかったが、「教育サービスなので、ゲームに比べれば爆発力はない。小学校1年生から始めて、教材を作りこんでいくことを目指す」という。また、月額課金を採用しているため「小学校1年で満足してもらえれば、継続して使ってもらえる。学年が追加されていくため、徐々に規模が拡大していく」とのことだ。

通信教育はすでにベネッセなどの大手が存在するが、そういった既存事業との住み分けをどうするのか、という質問に対しては「『アプリゼミ』のターゲットは、新たに通信教育を始めるという方に選んでもらおうと思っている。学校の授業のサポートという形で利用してもらいたい」と話していた。
 

■「触るのが楽しくなるようなアプリ」に、ゲーム内キャラクターの育成要素も


次に、DeNAの床鍋佳枝・アプリゼミ総合プロデューサー(左写真)が登壇し、アプリゼミの内容について解説した。「入学準備号」は1年生の国語や算数にスムーズに入れるようにする助けとなるような内容で、キャラクターが音声で問いかけ、触るのが楽しくなるようなアプリを目指したとのこと。アプリでは、連続で問題が出てくる「ステージ」をクリアし、次のステージを解放していく。ステージをいくつかクリアすると「カプセル」をもらえ、「カプセル」を3つ集めるとゲーム内のキャラクターが成長する。

「小学1年生講座」は、算数・国語・英語を3教科を毎月配信する。1日10分目安、月20日分のボリュームがあるとのこと。学習指導要領に基づいており、算数は通っている学校で使う教科書の順番でコンテンツを配信することもできる。英語は低学年向けに独自開発した教材で、日本語が一切出てこないほか、英語の文字表記も出てこないという。印刷、輸送コストがかからないことで、価格を既存製品の半額に抑えることができたと説明した。

NHKエデュケーショナルの松瀬尚・専任部長(右写真)も登場。今回のアプリゼミへの協力を通じて、同社の持つ「専門家や先生とのネットワークを社会に還元していく。多くの子どもたちに豊かな学びを届けられる」との思いを語った。同社の「いつでも どこでも だれでも “学びたい”に応えます」という経営ビジョンにも適合しているとのこと。

 



■算数監修の田中氏「算数との出会い方変えたい」「キャラの面白さではなく算数の本質を」


算数を監修する、筑波大学付属小学校教諭・共愛学園前橋国際大学講師の田中博史氏(左写真)は、算数に暗いイメージがあることを懸念し、「小学1年での算数との出会い方を変えたい」と話した。計算だけでなく、数や形など、ゆたかなイメージを与えたいとのこと。

「算数は思考の土台を作る教科。機械的でつらいだけの計算から脱出できたら素敵だ」という。「保護者は算数の専門家ではないため、繰り返し計算させたい、という気持ちの方が先にあるかもしれない」と指摘。専門家がアプリの中に仕掛けをすることで「保護者と子供と対話しながら、学びを深めていきたい」という。

「遊んでいるうちに、知らず知らずのうちに色々なことを身にけていた。そんな経験ことができたらいい」「子どもと算数の豊かな出会い演出していただきたい」とアプリゼミへの期待を話しつつ、「これまでゲーム教材というと、キャラクターが出てきて、キャラクターの面白さでつってしまうという弱さがあった。そういう面白さではなく、算数の本質を取り入れることで豊かな学習が成立すると考えている」とも述べていた。
 

■英語監修の小泉氏「聞くことが原点」「構えたところに取れる球を投げることが大切」


英語を監修する、昭和女子大学付属昭和小学校校長の小泉清裕氏(左写真)は、幼稚園から大学生まで教えた経験がある英語教師で「私自身が一貫教育」と自己紹介をし、その経験から「聞くこと(リスニング)」が英語学習の原点だと主張した。

「英語を話せますか、という質問はよくあるが、英語を聞けますかという質問はあまりない。英語を話すことが原点のように捉えられている」と、日本の英語学習の問題点を指摘。「キャッチボール(英語ではプレイキャッチ)はピッチボール(プレイピッチ)とは言わない。まずキャッチから。キャッチできないから投げるボールがない」「赤ちゃんはコップに一滴ずつ水を落とすように多くの言葉を聞き、コップに水がいっぱいになったところで脇からたらっとたれる。そうやって選び出した言葉が(母親に呼び掛ける)『ママ』という言葉として出てくる」などの比喩を織り交ぜながら、リスニングがコミュニケーションの原点であることを強調した。

そして英語学習、つまり初めてのキャッチボールでは「子どもは自分の前にグローブを構えない、怖いから体の横に構える」といい、「最初は構えたところにゆっくりとした取れる球を投げることが大切だ」と述べた。わかったと思える体験、わかることが面白いと思える体験、そして「話したい」と思わせるような体験が重要だとも述べた。
 

■福田萌さん「ゲーム感覚の勉強は子どもにとって楽しい」、小林星蘭ちゃん「みんなでいっしょに」


最後に、今年1月に第1子の女児を出産したばかりの福田萌さんと、人気子役の小林星蘭ちゃんが登場し、「巨大スマホ」を使って『アプリゼミ』を実演した。
 

▲小林星蘭ちゃん(写真左)と、福田萌さん(写真右)
 


福田萌さんは、『アプリゼミ』の感想として「ゲームで遊び感覚で勉強できるというのは子どもにとって楽しいと思う」とコメントした。

小林星蘭ちゃんは、「みんなでいっしょにやって、いつもの学校の勉強とお仕事も頑張りたい」と話していた。



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株式会社ディー・エヌ・エー(DeNA)
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会社情報

会社名
株式会社ディー・エヌ・エー(DeNA)
設立
1999年3月
代表者
代表取締役会長 南場 智子/代表取締役社長兼CEO 岡村 信悟
決算期
3月
直近業績
売上収益1349億1400万円、営業利益42億0200万円、税引前利益135億9500万円、最終利益88億5700万円(2023年3月期)
上場区分
東証プライム
証券コード
2432
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