国民生活センター、子どものオンラインゲームのトラブルに関して注意喚起 関係機関には情報提供と対策を要望

国民生活センターは、本日(12月12日)、「増え続ける子どものオンラインゲームのトラブル」と題する報告書を発表し、子どものオンラインゲームのトラブルに関する注意喚起を行った。

国民生活センターによると、昨年注意喚起を行ったものの、国民生活センターと全国の消費生活センターには、子どものオンラインゲームに関する相談が多く寄せられており、相談件数は年々増加している、としている。

とりわけオンラインゲームに関する相談の全体における子どものトラブルの割合をみると、2012年度には約20%だったが、本年度は約40%に増加しただけでなく、契約当事者の低年齢化が急速に進んでいるという特徴がみられたという。

さらに、トラブルの内容をみると、「クレジットカード会社から身に覚えのない請求が届いたので確認すると、子どもが黙ってクレジットカードでオンラインゲームのアイテムを購入していたことが分かった」などというクレジットカード決済を利用した相談が多くみられた。

そこで、国民生活センターは今回、あらためて消費者に、大人は子どもに利用させるオンラインゲームの仕組みや利用実態を理解し、クレジットカードの管理責任の徹底を呼び掛けるとともに、関係機関に対し要望と情報提供を行うとのこと。

要望先となる関係機関と要望内容は以下のとおり。

■オンラインゲームについて
未成年者のオンラインゲームに関する相談件数が増え続けていることを踏まえ、会員企業や業界団体に寄せられる未成年者の利用に関する相談や苦情について調査・分析し、苦情を減らす対応策を検討するとともに消費者に対するより一層の啓発をすることを要望した。

一般社団法人コンピュータエンターテインメント協会
一般社団法人ソーシャルゲーム協会
一般社団法人日本オンラインゲーム協会
一般社団法人モバイル・コンテンツ・フォーラム



■クレジットカードについて
オンラインゲームにおける未成年者のトラブルにおいて、決済手段に保護者などのクレジットカードが利用されているケースが多くみられる。このようなトラブルを未然に防ぐために、管理責任を含めたクレジットカードの利用についてカード利用者に啓発すること。

一般社団法人日本クレジット協会
日本クレジットカード協会



情報提供先は以下のとおり。

消費者庁 消費者政策課
内閣府 消費者委員会事務局
文部科学省 生涯学習政策局 男女共同参画学習課
文部科学省 スポーツ・青少年局 参事官(青少年健全育成担当)
経済産業省 商務情報政策局 商取引・消費経済政策課
経済産業省 商務情報政策局 商取引監督課
経済産業省 商務情報政策局 文化情報関連産業課


以下に見るように、2013年のオンラインゲームに関する相談件数は、2012年から大きく減少したものの、未成年者の相談件数に限るとあまり減少していない。低年齢化や高額化の傾向も見られる。ゲーム開発会社や業界団体でも、未成年者保護の対策は従来より行っているが、今後も引き続き対策が望まれるだろう。



■相談件数の状況

相談件数に関しては以下のとおりの分析が行われている。報告書では、これ以外にも具体的な相談事例が紹介されているほか、親の責任やゲーム会社の対策の難しさなどについてバランスよくまとめられている(関連:発表資料PDFファイル)。


(1)相談件数の推移と契約当事者の特徴
PIO-NET(全国消費生活情報ネットワーク・システム)をみると、オンラインゲームに関する相談件数は、2009年度以降、年々増加しており、2012年度は2009年度と比較して、約4倍にまで増加している。2013年度も前年同期と同水準の相談が寄せられている。その中で、契約当事者が未成年者である相談は、前年よりも大幅に増えており、件数は約2.5倍(2012年度:532件→2013年度:1,341件)となっている(図1)。

 


また、未成年者を年齢別でみると、16歳以上の相談の割合が減る一方、それ以外の年齢帯で割合が増しており、低年齢化が進んでいることが分かる(図2)。未成年者における平均年齢は、13.3歳から12.4歳に下がっている。
 
 



(2)契約購入金額と支払手段

オンラインゲームに関する相談全体の平均契約購入金額は、約21万円であったが、未成年者の相談に限定してみると約23万円と、金額が大きくなるという傾向がみられた。また、契約購入金額別の分布をみると、10万円以上100万円未満の相談において増加傾向がみられ、高額化している(図3)。
 


また、支払手段にはクレジットカードが利用されることが多く、未成年者においては7割以上がクレジットカードの利用をしたケースであった(図4)。

 




(3)オンラインゲームの相談件数と傾向

オンラインゲームに関する相談件数は、2009年度以降、年々増加しており、2009年度と2012年度を比較すると、約4倍にまで増加している。また、20歳未満の割合が42.2%と最も多く、全体の約半分を占めている。2012年度の年間での20歳未満の割合は、24.4%であったことから、未成年のオンラインゲームに関する相談が大幅に増えている(図5)。