DeNA、24年3月期決算は営業損失282億円と前年42億円の黒字から赤字転落…ゲームやIRIAM、医療子会社、スポーツで減損損失で

ディー・エヌ・エー(DeNA)<2432>は、5月8日、2024年3月期(23年4月～24年3月)の連結決算(IFRS)を発表し、売上収益1367億3300万円(前の期比1.3%増)、営業損失282億7000万円(前の期は42億0200万円の利益計上)、税引前損失281億3000万円(同135億9500万円の利益計上)、最終損失286億8200万円(同88億5700万円の利益計上)だった。

・売上収益:1367億3300万円(同1.3%増)
・営業損失:282億7000万円(同42億0200万円の利益計上)
・税引前損失:281億3000万円(同135億9500万円の利益計上)
・最終損失:286億8200万円(同88億5700万円の利益計上)

■事業概況

ゲーム事業は減収となったものの、その他の事業はいずれも増収となった。大幅な赤字となった要因は、ゲームやグループ会社ののれんの減損損失という一時的な費用を計上したことによる。主な減損損失は以下のとおり。

・ゲームタイトル:125億9700万円
・ライブストリーミングIRIAM:93億4600万円
・データホライゾン:36億1200万円
・日本テクトシステムズ:19億7800万円
・スポーツ事業:12億3000万円

なお、持分法による投資損失が29億9200万円(前の期は17億7000万円の利益)となった。前の期比では、主な持分法適用関連会社であるCygamesやGO等の業績動向等に加え、一時的な損益が変動要因となった。一時的な損失はSHOWROOMの減損損失で、59億4300万円の持分法による投資損失を計上した。

■セグメント別の業績

①ゲーム事業
ゲーム事業の売上収益は540億0400万円(同15.6%減)、セグメント利益は34億5600万円(同63.9%減)となった。新規タイトルのリリースがあったものの、既存のタイトルを中心とした事業運営となった。ユーザ消費額は前の期比で減少し、新規タイトルのリリースに伴う償却費やマーケティング等の関連費用が影響し、前の期比で減収減益となった。

②ライブストリーミング事業
ライブストリーミング事業の売上収益は425億7900万円(同6.2%増)、セグメント利益は3億3900万円(前の期は5億7200万円の損失)となった。前期においては、国内の「Pococha(ポコチャ)」及び「IRIAM(イリアム)」を中心に引き続き成長した。海外のPocochaでは、地域ごとの適切な運営につき検証を行い投資の最適化を進めた。

③スポーツ事業
スポーツ事業の売上収益は272億7100万円(同30.1%増)、セグメント利益は21億2500万円(前の期は2300万円の損失)となった。新型コロナウイルス感染症の影響による観客動員の制約を受ける以前の2020年3月期と比較しても業績は成長した。

④ヘルスケア・メディカル事業
ヘルスケア・メディカル事業の売上収益は99億6300万円(同42.6%増)、セグメント損失は36億4000万円(前の期は22億0200万円の損失)となった。同社は、中長期の成長機会を積極的に捉えるべく、新たな成長・挑戦に向けたM&A等を進めてきたが、前の期中に、事業ポートフォリオの強化が大きく進捗した。2022年8月3日にはデータホライゾンが、2022年10月3日にはアルムがそれぞれ同社の連結子会社となり、以降、各社の業績を当該事業の業績に含んでいる。

⑤新規事業・その他
新規事業・その他の売上収益は30億5400万円(同4.3%増)、セグメント損失は13億0300万円(前の期は8億8200万円の損失)となった。当区分には、中長期での事業ポートフォリオの強化を目指した各種取り組み、及びEC事業におけるサービスを含んでいる。

■2025年3月期の連結業績見通し

2025年3月期は、合理的な数値の算出が困難であるため、連結業績予想の開示を見合わせたものの、2024年3月期と比して増収、また、一時損益を除く営業利益も増益を見込んでいるとのこと。

ゲーム事業では、既存タイトルの動向や中国拠点の大幅な縮小等の影響が見込まれる一方で、新規タイトルは3本程度予定しているが、現時点での合理的・具体的な見通しの算出は困難である、としている。

この他、ライブストリーミング事業、スポーツ事業、ヘルスケア・メディカル事業については、成長へ向けた投資も行いつつ、前期比増収・増益を目指していく。

なお、2024年3月期においては、減損損失等一時損益があったが、2025年3月期に関しては、現時点において、こうした一時的な業績変動要因に繋がり得る公表すべき事項はない、とした。